
hostsファイルの書き換え手順・編集方法について
hostsファイルはそのパソコンだけドメイン名とサーバー(IPアドレス)の紐づけルールを変更できる仮想設定です。
Wordpressサイトの移転の際にその設定をした端末だけ、移転先サーバーでWordpressの事前確認ができる大変便利な設定です。IPアドレスは事前に調べる事ができます。
WEBデータのまるごと引越しの際にhostsファイルは重宝します。
WEBの仕事で役立つ「hostsファイル」
hostsファイルとは
hostsファイルとはWindowsやMacのパソコンの中に元々入っている設定ファイルの一つです。
そのパソコンが表示するドメイン名とサーバー(IPアドレス)の指定をするためのものです。
hostsファイル
このファイルに通常のメモ帳の更新をする感じでドメイン名とIPアドレスを記載する事ができます。
ドメイン名はホームページの屋号であり、IPアドレスとはホームページのデータが入っているサーバーのアドレスを指します。
IPアドレスとは「123.45.6.789」等の様に数字とドットの組み合わせによる羅列です(数字はそれぞれ1~3ケタでバラバラです)。
ドメインとIPアドレスの紐づけルール
前にWEBサイト移転の流れページでDNSの紐づけルールに関するお話をしましたね。
WEBサイトの世界において一つのドメイン(例えば本サイトであればlpeg.info)で表示されるサーバー(データの読込先IPアドレス)は1つだけです。
この一対になったルールがDNSサーバー(ネームサーバー情報)に登録されています。
これは全世界で守られる統一ルールがあるから、世界中のどこで開いてもlpeg.infoはAサーバー内のデータを表示するのですね。
この統一ルールを仮想変更できる
それに対しこのhostsファイルとは、そのDNSサーバーの紐づけルールを仮想変更する事ができるものになります。
このhostsファイルはパソコンごとに存在しているので、hostsファイルに新しいルールが記載されてもそれが反映されるのは「そのパソコンだけ」になります。
そのhostsファイルに例えば、「lpeg.infoで読み込みされるサーバーはBサーバー」といるルールを記載したとしましょう。
するとそのパソコンだけは、https://lpeg.info/ を開くとBサーバーのデータを表示する様になるのです。
ルール変更されるのはそのパソコンのみ
何度も言いますが、このルールが適用されるのはそのパソコンだけです。例えば隣に別のPCがあって、それでhttps://lpeg.info/ を見た場合は従来通りAサーバーのデータが映ります。
特定のパソコンのみを限定として、本来DNSサーバーで設定されている紐づけルールを違うルールに変更できるのですね。
hostsファイルにそのルールを記載している限り、ずっとその設定は維持されます。
hostsファイルの用途
なぜそのような設定が付いているのかについての経緯は、申し訳ありませんがここでは割愛します。ごめんなさい。
ではなぜこのファイルを紹介するのか。それはズバリ!この機能を利用する事で、Wordpressサイトの引越しの時に移転先のサイトデータを事前確認する事ができるためです。
とても便利で重宝される機能ですので知っておいて損はありません。
実際に私自身も何度も利用していますし、今も仮想ルールを書いたままにしているサイトがあります。
Wordpressサイトの移転時に重宝
ドメイン名でWordpressをインストールした場合
Wordpressサイトの移転の流れのところでもチラっと紹介しましたが、サイトの移転の際には、新しいサーバー先にWordpressデータを移設しておく必要があります。
そのためにまずはドメイン名を入力してWordpressをインストールしなければなりませんよね。
この時点ではまだネームサーバーは切り替わっていない状態です。
なので管理画面を開こうとしてもまだ移転前の管理画面が表示され、新しいサーバーの管理画面を開く事ができないという状態に陥ります。
Bサーバーに新しく設置したWordpressの管理画面
https://lpeg.info/wp-admin/ を開けようとしても
Aサーバーのhttps://lpeg.info/wp-admin/ の方に飛んでしまう。
どちらも管理画面のアドレスは同じですので、当然の事ながらDNSの紐づけルールにあるAサーバーが表示されてしまいます。
でもこれではいつまでたっても移設先のWordpressの設定ができませんよね。
ここでhostsファイルの出番
DNSのルール上では「lpeg.infoはAサーバーを読む」になっているため、上記のBサーバーのWordpressの管理画面は開けません。
しかしhostsファイル上に「lpeg.infoはBサーバーを読む」とルール付けをすると、lpeg.info の表示先アドレスがBサーバーに切り替わります。
つまりそのパソコンだけはBサーバーの新しい管理画面を開く事ができるようになるのです。
他のパソコンには全く影響しない
この設定はそのパソコン1台でのみ有効ですので、それ以外の全ての端末においてはDNSの本来のルール通りです。Bサーバーを表示しているのは自分のPCだけですので安心して下さい。
自分のPCだけがバーチャル設定・仮想設定されている様なものになります。
これにより移設先Bサーバーの管理画面にログインできますのでサイト設定や事前確認をする事ができます。
DNS内の本番ルールを切り替えしていないので、テスト作業や修正段階などを一般の方に知られる事も全くありません。
このhostsファイルの内容変更(ルール追記)をクライアントが常に使っているパソコンでも同じようにしてもらえば、ご自身とクライアントだけが移転先データの確認ができるようになるのです。
hostsファイルの表示方法
では具体的にhostsファイルの書き換え方をご紹介します(Windows版でご説明します)。
デスクトップから操作開始
キーボードの「Windowsの旗のマーク+R」を押します。事前にデスクトップの待ち受け画面にしておきましょう。
左下に「ファイル名を指定して実行」の小窓が表示されます。
名前のボックス欄に「drivers」と入力して「OK」をクリックします。
Win+Rで表示された「ファイル名を指定して実行」の小窓に「drivers」と入力
ファイル一覧が表示されたフォルダが表示されます。その中で黄色のフォルダの「etc」をダブルクリックします。
上記etcフォルダの中に、今回のhostsファイルがあります。
hostsファイルが表示されます。
hostsファイルをデスクトップへ一旦移動
これを開いて編集をするのですが、この場所で開いて編集をしても上書きをする事が出来ません(パソコンの仕様です)。
ですので一度このhostsファイルをデスクトップなどにマウスでドラッグ移動させます(クリックしたまま枠の外に出す)。
その際「管理者の権限が必要です」というガイダンスが表示されますので「続行」をクリックします。するとhostsファイルがデスクトップに移動します。
デスクトップにドラッグの際、管理者権限が必要と表示される
これでhostsファイルの編集ができるようになりますので、ファイルをダブルクリックで開きましょう。
開くプログラムの選択
開く時に使うプログラムを選択する画面が出た場合は、「メモ張」を選択して「OK」をクリックしましょう。
hostsファイルの書き換え方
実際にhostsファイルを開くといろいろ英語が記載されていますが、その一番下に以下の記載があります。
# 127.0.0.1 localhost
# ::1 localhost
などと記載されています(2行でなく1行だけ場合もあります)。
この下に改行をして、同じようにIPアドレス(000.000.000.000など数字とドット「.」の組み合わせ)とドメイン名を記載します。
記述例
例
【タブ】112.98.77.125【タブ】www.lpeg.info
【タブ】112.98.77.125【タブ】lpeg.info
記載上の注意:
www付きとwwwなしとで2段書きます。IPアドレスは上下同じものになります。
Tabでスペースを作ってIPアドレス、さらにTabを入れてドメイン名です。
一番下には改行を入れて一段空いている状態を作ってください。
上書き保存&元のetcフォルダに戻して終了
記載したらメモ帳を上書き保存します。そして元々あった「etc」のフォルダ内にhostsファイルをドラッグして移動させます。
このetcのフォルダの中に入れておかないとhostsファイルは機能しません。
先ほどと同じように「管理者の権限が必要です」というガイダンスが表示されますので「続行」をクリックします。
etcの中にドラッグして、管理者の権限が必要ですに対して「続行」をクリック
これで設定は終了です。ちゃんとBサーバーが表示されるかどうか確認をしてみて下さい。
※一度ブラウザを閉じて開き直しが必要な場合があります。
IPアドレスの確認方法
hostsファイルの編集にはドメイン名とIPアドレスを入力しますが、例えばBサーバーのIPアドレスが何なのかについては、事前に調べておかないと設定ができません。
契約サーバーのコントロールパネル内に記載されている場合
契約サーバーのコントロールパネル内にログインすると、「サーバー情報」欄などにIPアドレスが表示されているケースもあります
まずはログインしてサーバー情報を確認してみましょう。
コントロールパネル内に記載がなかった場合
契約しているプランには必ずFTP情報が準備されていますよね。これはホームページファイルをUPするのに必要な設定情報です。
このFTP情報の中にWEBサーバー名(FTPサーバー名とも言います)がありますのでメモしておきましょう。
このWEBサーバー名をコマンドプロンプトの画面に入力します。
コマンドプロンプトの表示方法
キーボードの「Windowsの旗のマーク+R」を押します。
左下に「ファイル名を指定して実行」の小窓が表示されますので、名前のボックス欄に「nslookup」と入力して「OK」をクリックします。
Win+Rでファイル名を指定して実行の小窓を表示。名前のボックス欄に「nslookup」と入力して「OK」をクリック
コマンドプロンプトと呼ばれる黒い窓が表示されます。
コマンドプロンプト画面
コマンドプロンプトに情報入力
カーソルが点滅しているところに「nslookup」と入れます。
そして半角スペースを入れて、先ほど調べたFTP情報の「WEBサーバー名」を入力してEnterを押します。
例:nslookup sx2202.xserver.jpと入力
そうするとIPアドレスが表示されます。この数字の並びがhostsファイルを編集する際に必要なIPアドレスになります。
IPアドレス(例:123.45.67.890など)が表示される
これでサーバーのIPアドレスを調べる事ができましたね。
補足:hostsファイルを使わなくてもいいケース
hostsファイルを使うのはまるごとデータ移転の時
今回の様にサイトをそのまま引っ越しをおこなう際は、hostsファイルは重宝します。
それとは別によくある案件で、サーバー引っ越しの際に同時にデザインリニューアルなどもおこなう場合があると思います。
その場合はhostsファイルはあまり使いません。
移転先でリニューアルをする場合は必要ない
リニューアルをする訳ですから、移転先へWordpressをインストールする際に、無理に同じドメイン名でインストールする必要はないのです。
一旦別のURLでインストールして、別URLのままWodpressサイトをリニューアルする事ができます。
リニューアルが終わるまで別URLで動作させておき、リニューアルサイトが完成したら最後に同じドメイン名に変更(管理画面の設定・一般の欄から)する事ができるのです。
hostsファイルは同じデータかどうかを確認する事が目的
hostsファイルを書き換えるのは移転元と移転先が同じデータかどうかを確認するためです。
移転先でリニューアルするのであれば見た目のデータは変わって当然ですよね。
であれば最終的にドメイン名が移るまでは別URLであっても、リニューアルデータがきちんとできている事を確認できれば訳です。
クライアントに確認してもらう場合も、別URLで確認してもらう方がhostsファイルを編集してもらうよりも簡単です。