
GA4「Google Analytics4」とUAは並行して解析しましょう(すぐにGA4を設定するべき)
ユニバーサルアナリティクス(UA)は2023年に廃止され、Google Analytics4(GA4)がメインプロパティになります。
UAによる過去の蓄積データは全て消滅しますので、バックアップ(エクスポート)しておきましょう。
今すぐGA4プロパティを設定して、UAと並行運営する時期をできるだけ長くして下さい。
GA4「Google Analytics4」がリリース
2020年10月に、最新バージョンとなるGoogle Analytics4プロパティ(以下:GA4)が正式にリリースされました。
いま主流で使っているプロパティは、2013年にリリースされたユニバーサルアナリティクス (以下:UA) です。
UAは、2023年7月1日をもって引退する事になります。
UAからGA4に一本化される訳ですが、ほとんどのユーザーが今使っているのはUAの方でしょう。
ですので今は、GA4もUAもどちらも個別に使える「移行期間」です。
ユニバーサルアナリティクスデータは消滅
切替後6か月間はこれまでの履歴データが閲覧できますが、それ以降はデータ消去されてしまいます。
つまり今まで長年にわたり蓄積してきたアクセス解析データは、基本的には消滅してしまうのです。
アクセス解析における大規模改変であり、大きな問題ですよね。
ですので過去のデータはエクスポートしてバックアップ保存しておくべきです。
そこで本記事ではGA4についての基本から切替タイミング、設定方法まで解説していきます。
UAとGA4の違いについて
まずUAとGA4の違いを簡単に理解しておきましょう。
従来のUAと違う点は、GA4はその計測方法や機能が拡張されデータが大きく変化している事でしょう。
GA4ではイベントが軸
UAでは「セッション」や「ページ」が計測の基軸になっていましたが、GA4では「イベント」が計測の軸になります。
ではなぜGA4では「イベント」が計測の主軸となったのでしょうか?
ページ概念がないアプリケーション内の測定
例えば、ユーザーがWEBサイトからiosやAndroidなどのアプリ内へと移動していく場合があります。
しかしそもそも、アプリには「ページ」という概念がありません。
となるとこれまでのページの概念のままアプリ内まで追跡していっても、ユーザーの動きが把握できないのです。
GA4ならば、アプリ内でもユーザーの動向を把握する事ができる訳ですね。
コンテンツ閲覧の長さを判定
最近のユーザー動向における大きな変化は、「コンテンツ閲覧の時間」です。
例えばWEBページに埋め込まれたYoutube動画を「30分見た場合」と「1分間見た場合」とでは、その動画の良し悪しが違うはずです。
これを同一ページビューとして計測してしまうと、動画の「価値判断」ができません。
イベント単位で時間計測ができると、価値判断の一つにできますね。
長文ブログの場合
動画でなくとも、特に本サイトの様に3千文字を超えるような長文ブログ記事を読んだ場合もそうです。
閲覧後、他の操作を行わずにユーザーがサイトを離れた場合、古いモデルだとそこでデータ計測が終了します。
最終的に見ていた記事ページ自体の評価を測りかねる訳です。
滞在時間でページ価値を判断
しかし、長い記事に対してユーザーの動きが無いまま時間が経ったのであれば、この記事は有益だったはずですよね。
問題が解決して納得した証の可能性があります。
GA4が計測の仕方を「セッション・ページ単位」ではなく「ユーザーの行動データ単位」に変更した理由はまさにここです。
時間的なイベント要素を追加する事により、この記事の有効性を測る事ができるのです。
ポイント
UAは1セッション中に行われた行動データを分析
GA4はイベント単位での行動データを分析
GA4の新機能・メリット
WEBとアプリをまたいで計測できる
GA4ではプロパティ内に「データストリーム」という新しい項目が追加されました。
これにより、WEBサイトデータとアプリ経由のデータを統合して計測する事ができるようになります。
データストリームは「iOS」「Android」「ウェブ」の3種類に分かれています。
ユーザーがWEBサイトからアプリへ移動しても、それを同一ユーザーとして認識することが可能になるのですね。
行動予測機能の導入
GA4では、実装したイベントを元にGoogleの機械学習モデルを使った「行動予測」ができます。
この行動予測機能により、収集されたイベントデータから次の顧客の行動を予測する事ができるのです。
例えばこれまでの蓄積データからそのユーザーが「購入する、或いは離脱する可能性」をある程度予測することができる様になります。
「収益予測」では、過去28日間に操作を行ったユーザーが今後28日間のコンバージョンによって、どれくらいの収益が見込めるかを予測できます。
ただし行動予測機能を使うには、収集データに関する諸条件を満たす必要があります。
サードパーティCookieからの離脱
ネット社会ではプライバシー保護の強化が進められ、現在はCookie情報のみでユーザーの行動を追うことが困難になってきています。
特にサードパーティのCookieが、段階的に廃止される方向で進んでいますよね。
GA4はサードパーティのCookieを離れ、ファーストパーティCookieでの追跡となります。
プライバシー保護面を配慮した最先端のプロパティになっています。
GA4は、GDPRやCCPAなどに代表される「プライバシーデータ規制」に準拠しています。
データ計測の設定が簡単になる
以前のUAでは「ページ内のユーザー行動」指標について、手動による設定が必要でした。
しかしGA4では、これらの指標設定が簡単に設定可能になっています。
・スクロール数
・離脱クリック
・サイト内検索
・動画エンゲージメント
・ファイルのダウンロード
といった情報が切替操作一つで計測可能になりました。
GA4のデメリット
GA4は誕生したばかりのツールですので、まだまだ情報も少なく、これから変化する可能性もあります。
ですので慌てずに普及が進むまで待った方がと思うでしょうが、これは間違いです。
ユニバーサルアナリティクスからデータ移行ができない
重要なポイントとなりますが、実はUAからGA4にデータ移行する事ができません。
構造が同じでないため、UAデータをインポートする事はできないのです(多くの指標も同様)。
ですのでGA4が導入されると言う事は、これまでの解析データ閲覧が終了する事を意味しているのです。
バックアップして別アプリで確認できるようにする
今までUAで計測していたデータは全て消えてしまいますので、データをバックアップする必要がありますね。
エクスポート(バックアップ)したデータは、何かしら別のアプリケーションを使用して視覚化する必要があります。
バックアップを取る事が先決なので、閲覧アプリに関する説明は割愛します。
一から学習する必要がある
UAとGA4は全く違うツールです。UAとは違う、新たな考え方や操作方法が導入されています。
ですので当然、GA4ツールの使い方を理解する必要があります。
実際にはGA4とUAとの違いを含めて、運用しながらその都度理解していく事になるでしょう。
極端なお話GA4の次のツールが誕生する可能性もあります。常に学習が必要という事です。
広告主の戦略変更
一番打撃を受けるのは、広告主や広告配信サービスです。
このサードパーティCookieが使えなくなると、従来のユーザー追跡や広告最適化の方法が使えません。
Googleや他の広告主は新しい追跡手法・データ収集に切り替える必要があります。
ファーストパーティCookieとサードパーティCookieの違い
ファーストパーティCookieは、WEBサイトのアクティビティを追跡するものであり、WEBサイトの所有者にて設定されています。
それに対しサードパーティCookieは、サイトの所有者以外の他社がWEBサイトに配置したCookieです。
このCookieによって、第三者がユーザーの行動を自動で追跡できていました。
外部サイト訪問中のユーザーに最適な広告を出せたのは、サードパーティCookieの賜物だった訳ですね。
いまGA4に対してどうするべきか
現在GA4は、UAのデータとは別個にデータ取得することが可能になっています。
1つのWEBサイトに対し、UAの解析データとGA4の解析データと2つのプロパティが並ぶようになる訳です。
GA4は早いうちに設定・データ計測をしておくべきでしょう。
これから新しくGoogle Analyticsを使うユーザー
これから新しくGoogle Analyticsを使う場合、登録したアカウントでは解析ツールは最初からGA4です。
UAの設定自体が無いはずなので2つの新しいプロパティを気にする必要はないです。
GA4をすぐに使い始めることができますが、習得に時間が掛かるのは他の人も同様です。
既存のサイト所有者
すでにUAで解析をしていたサイト管理者の方は、まだUAプロパティを削除しないでください。
まずそれらをバックアップ(エクスポート)しておきましょう。
UAを削除してしまうと、これまでの履歴データが失われてしまいます。
複数サイト・アカウントを管理している場合、各アカウントのツール移行についてはある程度の管理計画が必要になるでしょう。
一日も早くGA4を導入し並行運営期間を延ばす
少なくともGA4が正式に廃止されるまでは、UAをGA4と一緒に使用し続けるべきと思います。
2023年まで時間はまだ十分にありますから、まずはいち早くGA4による解析を並行して進めるべきです。
理由は大きく2つあります。
GA4をマスターする期間を確保する
管理者自身が新しいGA4プロパティを使いこなすためには、勉強する必要があります。
でないとよりよい改善が望めませんし、クライアントに対してのデータ分析やアイデア提案ができません。
しかも学習する際にデータがある程度蓄積されていないと、わかるものもわかりませんよね。
GA4側に過去の履歴を作る
特に前年比データが必要な場合などは、GA4を既に設定しておく必要があります。
UAが廃止されたとしても、GA4で解析していた期間はGA4でデータ確認ができるためです。
Excelなどにエクスポートしていても、今まで通りではない訳ですから手間ですよね。
仮にいまGA4を設置した場合、来年の10月まで1年あります。その後さらに半年間はUAデータもまだ残ります。
その後UAデータの方は削除されますが、その1年半の間はGA4側にデータが残ります。これって大きいですよね。
UAデータをバックアップする方法
ではアクセス解析データのバックアップをする手順を紹介します。これはエクスポート操作でおこないます。
カレンダー期間を設定する
一番最初に出力するデータのカレンダー(開始日から終了日)を設定します。その上でエクスポート作業をするようにしましょう。
各種データの期間は統一しておくべきです。
1度にエクスポートできない場合もありますので、1年単位に絞る事も必要になるでしょう。
画面右上の「エクスポート」を押す
Googleアナリティクス中でデータ保存したい画面に行き、画面右上の「エクスポート」を押します。
ファイル形式を選択
上の画像の様に保存形式の候補が表示されます。
・PDF
・Googleスプレッドシート
・Excel
・csv
上記の中から目的に応じて選択しましょう。
ダウンロードされたデータを保存すれば完了です。
各画面ごとに保存する必要があるので、全データ保存にはそれなりの手間と時間が掛かります。
必要な項目データに限定したり5年前以前のデータは無視する等、計画的にエクスポートしましょう。
1つのサイトだけでも運営履歴が長ければそれだけデータは膨大になります。かなりの数になるでしょうし、何度もエクスポートを繰り返す事になります。
エクスポート時によくあるミス
期間の設定を間違えている
出力データの期間設定は必ず揃えるようにしましょう。
データによって対象期間がずれていると、データの整合性が取れません。
行数を変更していない
PC版のデフォルトではデータ表示は10行なので、このまま出力すると10行しかエクスポートされません。
全部で何行データがあるかは、右下にある「最大の桁数」で確認ができるはずです。
表示行数を最大桁数にする事で、全ての行データをエクスポートすることができます。
ダウンロードデータが文字化けする
エクスポートした形式がcsvで、それをExcelで開くと文字化けすることがあります。
csvファイルではUTF8という文字コードが使われているからです。
Excelで開く事が想定されるのなら、最初からExcel形式でエクスポートしましょう。
文字化けを解消するなら参考にして下さい
GA4の設定方法
ではGA4の設定方法について解説します。
今回は既にUAを使用しているユーザーが、GA4も同時並行で使用する場合の操作です。
GA4の設定
アナリティクスの「設定」から、開いたページの「GA4設定アシスタント」をクリックしましょう。
「はじめに」の青いボタンをクリックしましょう。
ウィンドウが表示されますので、「プロパティを作成」ボタンをクリックします。
※ウィンドウ内のオプションのチェックは今回無視しています。
これでプロパティ作成が完了しました。
「プロパティに移動」の青いボタンを押すと、GA4の画面に移動します。
GA4のデータを見たい場合
GA4のデータを見たい場合は、アカウント欄でプロパティとアプリの名前が通常版とGA4版と2つ並んでいるのがわかると思います。
「GA4」の欄から、GA4向けのアクセス解析データを見る事ができます。
これまでのUAデータと新しいGA4データはそれぞれ独立分離しています。
解析タグの設置
GA4設定アシスタントの設定が終了したら、次にデータ計測タグの設置をします。
これはUAのタグとは別に貼り付ける必要があります。
gtag.jsを使用して接続する場合
GA4のプロパティに進み、設定からデータストリームを開きます。
データストリームのデータ欄自体をクリックします。
ストリームの詳細が表示されますので、一番下にある「タグの実装手順を表示する」をクリックしましょう。
開いた画面で「手動でインストール」タブの方を開き、下にあるタグをコピーしてWEBサイトに貼り付けましょう。
これでGA4タグの設置は完了です。
GA4プロパティの設定後、専用タグを入れなくても解析データは見れる様です。しかしいずれUAは廃止されますし、GA4機能を最大に活かすためにも専用タグを入れましょう。
GTMで接続する場合
Googleタグマネージャー(GTM)を使って管理している場合は、タグマネージャーのコンテナ内に「GA4設定」のタグを新規で追加します。
配信トリガーに「All Pages」を追加すれば完了です。
以上の設定(接続)で、ユニバーサルアナリティクスとGA4の両方でデータ計測することが可能になります。