SXO対策とは?ユーザー検索体験を満足させる新しいSEO対策
SXOとは検索エンジンに対してではなく、ユーザーの検索体験に対して最適化をおこなうSEO対策です。
検索エンジンのランキング評価だけではユーザーを100%満足させていないため、そのズレを修正する事が目的です。
ユーザーの真のニーズを掴むのはもちろん、WEBサイト自体の快適さ・使いやすさもランキング要素になります。
新しいSEO対策要素:SXOについて
皆さんは「SXO」という言葉を聞いたことがありますか?
「SXO」はSEO対策に含まれる新しい要素であり、Googleのガイドラインがいま最も重要視する概念です。
Googleの方針に従う事がサイト運営者の命題ですので、この「SXO」を熟知して対策に取り組む必要がある訳です。
本記事ではこのSXOについてご紹介します。
SXOとは
SXOは、2016年頃から注目されるようになった比較的新しい手法です。
正式には「Search Experience Optimization」と呼びます。
SEOの正式名称が「Search Engine Optimization」ですので、ExperienceとEngineの違いがあります。
日本語では「検索体験の最適化」と訳されています。
SXOは検索体験の最適化である
検索結果の精度を検証
検索体験の最適化とは、検索したユーザーの検索意図に合致したコンテンツを提供し、「ユーザーを満足させる事」です。
そのためには、並んでいる検索結果でユーザーが満足したかどうかを検証しなければなりません。
仮に満足していない場合は、それまでのルールを覆して満足度の高いサイトへの入れ替えが必要になります。
サイト訪問中の満足度
WEBサイトの順位で満足させる事は必須条件ですが、SXOの主旨はそれだけではありません。
ユーザーに「このサイトを訪問して良かった」と思ってもらえたかどうかも大切になります。
情報だけでなく、提供しているサイト全体の品質も大きく影響するのです。
SEOとSXOの違い
SXOはSEO対策に含まれる新しい要素と説明しましたが、SEOとSXOのそれぞれの目的には大きな違いがあります。
SEO:訪問ユーザー数UPのため、検索上位に表示させる事が目的
SXO:検索ユーザーの意図にマッチした検索体験を提供する事が目的
SEOとは
SEOはその名の通り「検索エンジン最適化」を目的とした手段です。
様々な検索キーワード(検索クエリ)に対して、自身のWEBサイトを検索結果の上位に上げるために行う対策ですね。
キーワードに合わせて管理者がWEBサイトを最適化する作業の事を「SEO対策」と呼んでいます。
SEOはこれまでWEBサイトの集客手法として確固たる地位を確立していますし、その立場はこれからも変わりません。
検索エンジンに好まれる様にWEBサイトを修正・変更していく事は、これからも引き続きサイト管理者の使命です。
SXOとは
それに対し「SXO」は検索エンジンに対してではなく、ユーザーの検索体験をより向上させる事を目的としています。
ユーザーが上位に表示されたWEBサイトを訪問して、結果「満足したかどうか」を重要視するのです。
SEOが検索エンジンを満足させる対策であるのに対し、SXOはユーザーを満足させる対策と言えます。
検索サイトに上位表示されるまでがSEO、その後のユーザーの動きからそれを検証するのがSXOと言えるでしょう。
SXOが必要な理由
Googleはこれまでサイト単位およびページ単位でコンテンツの質が高いサイト、上質なリンクを受けているサイトを中心にランキングを決めてきました。
同時に不正に評価を上げようとするサイトをあらゆる方策を使って排除してきています。
それらの精度を向上させるため様々なルールを設けつつ、必要に応じたブラッシュアップを何度も繰り返して今に至っています。
このランキングルールを統一して文書化したのが、Googleが設けた「品質ガイドライン」ですよね。
検索エンジンに好かれるための最適化
その結果Googleは、検索上位にレベルの高い品質のWEBサイトを並べる事ができる様になったと言えます。
WEBサイト側もこの品質ガイドラインに沿った形に姿を変えていく訳ですから、要は「聞き分けの良い子供達」ばかりになるのです。
つまり「検索エンジンを満足させるための」WEBサイトの最適化と言えますね。
検索エンジンに好かれるサイトはユーザーを満足させられるか
ところがユーザーが上位のWEBサイトを開いて100%自分の欲求を満たしているかというと、実はそうではありませんでした。
検索エンジンが自身の納得するWEBサイトをいくら並べても、ユーザーがそのWEBサイトおよび情報に毎回満足するとは限らない事がわかったのです。
両者のズレを埋めるためにSXOがある
これは、ユーザーの検索意図と検索エンジンの意図に「ズレ」がある事を意味しています。
SXOはこのズレを修正する事を目標に考えられた概念です。
ですので検索エンジンが満足する様なWEBサイトにする事が目的の「SEO」とは、一線を画すものと言えます。
SEOとSXOは同時進行する必要がある
Googleはこれからよりユーザーファーストの検索結果を出そうとしていきます。
SEOとしてベースとなるコンテンツの品質は維持しつつ、ユーザーが「本当に満足できるWEBサイト・および情報」に価値を見出します。
そうしないとユーザーにGoogle検索を使われなくなるかも知れないと、Googleは恐れているのですね。
Googleの品質ガイドラインに対応していく
まずはユーザーが本当に満足できる情報を提供できたかどうかを、ユーザーの動向をもとに検証します。
それに加えて、WEBサイトの表示スピードや使いやすさ・端末整備なども判断するのです。
現在のGoogleの品質ガイドラインは正にそれを裏付けています。
これに対応するため、管理者はこれからSEOとSXOとを同時並行して進めていかなければなりません。
ユーザー検索体験の満足度の測り方
ユーザーの満足を測る上で、Googleが一番重要視するのはやはり「コンテンツの品質」ですよね。
品質をベースとしたランキング付けが基本ですが、それが正しいかどうかはユーザーの検索動向をもとに常に精査されています。
Googleの検索エンジンには、検索クエリと検索サイト一覧の満足度を評価するための様々な測定基準があります。
そしてそれらは全て「ユーザーの検索・訪問行動」から算出しているのです。
※Googleがあなたの検索を目視で観察している訳ではありませんから当然ですね。
ユーザーの検索動向
ユーザーはまず1位のサイトを開き、満足すればそこで検索を終了するか別の検索を行います。
満足しなかったら検索ページに戻って、次は2位のサイトを開いて調べます。
それでも満足しなかったら検索ページに戻って、3位のサイトへ同様の行動を起こします。
ユーザーのポゴスティッキングを防ぐ
【検索一覧 → 1位 → 検索一覧 → 2位 →検 索一覧 → 3位…】
これを繰り返す事を「ポゴスティッキング」と呼びます。
この行動が多くなる=「サイト内の情報に満足していない」事を指しているのですね。
このポゴスティッキング動作をいかに少回数で終了させるかがGoogleの課題なのです。
ユーザーのクリックは魅力的なタイトルの証
ユーザーがリストをクリックすれば、それはユーザーがそのサイトを訪問した事になります。
少なくとも開いてみたいという思わせるサイトタイトルだった事の証となります。
元に戻るのは満足していない証
リンクをクリックした後にユーザーが検索ページに戻った場合、そのサイト内情報がユーザーのニーズを満たしていない事を示しています。
この事態が何度も続けば、Googleは他のユーザーが同じキーワードで検索した時にそのサイトのリンクを同じ順位に表示するべきではないと判断し始めます。
代わりに過去のユーザーがより多くの時間を費やしたサイト記録をもとに、そのサイトへのリンクを優先してくるという訳です。
行動が変わったのは満足した証
それに対して、ユーザーがサイトを訪問したあと新しいキーワード検索をしたとしましょう。
それはユーザーが検索して知りたかった情報をそのサイトが提供できたのだとGoogleは判断するのです。
それにより最後に訪れたWEBサイトのリンク評価が上がるという訳です。
評価基準の例
Googleの測定基準となる他のユーザーアクションをいくつか紹介します。
ショートクリック
ユーザーがサイトにアクセスした直後すぐに検索結果ページへ戻った場合、ユーザー満足が不十分である事を示しています。
それ以外にもページ上部で解決しなかったとか、サイトの表示が重いなどの問題もあるかも知れません。
ロングクリック
ユーザーはサイトを訪問したあとしばらく動きが無かったとします。
これはそのサイトの満足度が高かったと判断され、良い要因となります。
クリック率
検索結果に表示された回数に対し、ユーザーがタイトルをクリックした頻度の割合です。
割合が低ければ、タイトルが魅力的でないのかも知れないとGoogleに判断される材料になります。
次のクリック
ユーザーが次に起こすアクションは、ユーザーの満足度を決定する重要な指標になります。
次のクリックが「検索結果一覧に戻る」の場合は、ユーザーの不満を示しています。
次のクリックが「新しい検索行動」の場合は、ユーザーの満足度が高かったことを示しています。
Googleは検索の履歴を全て蓄積している
GoogleはリアルタイムのWEBサイトの品質の良しあしだけで判断しません。
過去の検索ユーザーの動向データは蓄積されていて、それも判断基準のベースになっているのです。
「順位は低いが、結果訪問されている」或いは「類似キーワード検索での結果」など、過去のサイトに対する訪問判定も大きく影響します。
過去の検索動向で大きく貢献したとされるWEBサイトのリストがバックグラウンドで働いている様な感じですね。
WEBサイトの利便性に対する評価
SXOはコンテンツだけではなく、訪れたWEBサイトの利便性もユーザーの検索体験を満足させる重要なポイントとなります。
ここでのWEBサイトの利便性とは以下の様なものを指します。
利便性を測る要素
・レスポンシブデザイン対応
・表示の速さ
・使いやすさ
・スムーズな経路、導線
・安全性
例えばですが、スマホ対応していないサイトが検索上位に来ていたとしましょう。
その情報の質がいくら高いからと言って、スマホから検索したユーザーが画面上の小さい文字を隅々まで見るでしょうか。
コンテンツの質が良くてもレスポンシブデザイン対応していないサイトは、ユーザーの満足を得られませんよね。
Core Web Vitals導入もユーザー体験向上の一環
さらにはサイトの「使いやすさ」や「表示スピード」もユーザーの利便性に繋がります。
検索した時にWEBサイトが素早く開くと、ユーザーはそれだけで満足する事がデータで実証されています。
「Core Web Vitals」が新しい要素として2021年に組み込まれるのは、このSXOの実現が一つの要因となっています。
扱いやすさ・リンク導線の整備
ショッピングサイトの場合であれば、商品選択から購入までの導線がスムーズに敷かれているかも重要です。
今までの「SEO観点のみ」の視点だと、このリンク導線などを考慮する事は無かったと思います。
しかしSXOではこういったリンク経路の円滑さも考慮される事になります。
サイト全体を通して非常に見やすく、利用しやすい事自体がランキング評価につながる事を意味しています。
SXO対策の方法
ではSXOとしてやるべき方策には具体的にどのようなものがあるのでしょう。
現時点では以下のような項目が考えられます。
具体的なSXO対策の案
・ユーザーの真のニーズの探求
・最適なキーワードの設定
・ユーザビリティ(サイトの使いやすさ)の強化
・特にモバイルページを高速表示させる対策
・セキュリティ強化
まずはユーザーが求めているものをしっかりと把握して情報を提供する事でしょう。
それとは別にサイトの見やすさや使いやすさも整えていきます。
さらには外部からの不正アクセスなどを防ぐSSLなどのセキュリティも必要ですよね。
自身の体験をコンテンツにする
先ほどの具体的な方策案の中に、ユーザーの真のニーズを探るというのがあります。
検索する側も人間ですから、入力する検索キーワードが不適切だったり微妙なニュアンス違いもあります。
それも含めて本当に知りたい「答え」は、同じ人間にしか出せない訳ですね。
その意味でユーザーが持つ本当のニーズを知る事が重要です。
理想に一歩近づく手段
相手にとって理想的な答えを出す。
これはWEBサイトにとっての最終ゴールですが、ご存じの通り簡単な事ではありませんね。
その中で「自分の体験」を記事・情報コンテンツとして記載する事は、この理想に一歩近づける手段です。
自身の体験を記載すると、同じケースに遭遇しているユーザーにとってそれが非常に有益な情報となるのです。
自身の体験がSXOに有効な理由
自身の体験は唯一無二の文章になり、オリジナリティの高い内容になります。
オリジナリティの高いコンテンツは同じキーワードで狙っている競合他社サイトと差別化ができます。
それは数こそ少ないかも知れませんが、同じ体験をしたユーザーには刺さる「ドンピシャな答え」なります。
そして満足したという記録がずっとGoogle側に残り、今後の参照データとして蓄積されていくのです。
Google品質ガイドラインにも合う
こういった自身の体験コンテンツは、きちんとGoogleの品質ガイドラインにもマッチします。
「どうすれば自分のWEBサイトが独自性や、価値、魅力のあるサイトといえるようになるかを考えてみる。同分野の他のサイトとの差別化を図る」の部分です。
ですので自身の体験に基づくコンテンツを積極的に掲載するようにしましょう。
WEBサイトの利便性を向上させる
WEBサイトの利便性は、コンテンツとは関係ありませんから誰でも改善ができる要素です。
まずは「ページの表示速度」ですね、特にモバイル版でのスピードUPを目指しましょう。
WEBサイトはスマホ版からの訪問が大多数だからです。
Core Web Vitalsを意識した改善をしていきましょう。
参考リンク
→Core Web Vitals
→Googleの推奨するSEO向け画像遅延読み込みでページ速度UP
→モバイルファーストインデックス対策はこう動く(7つのケースとその対応策)
→CLSは画像サイズ指定で本当に改善されるのか(コアウェブバイタルSEO検証)
後はTOPページから目的ページへの導線経路を見直し、タップ使いやすいメニューボタンなどを意識します。
セキュリティ面でSSL設定をするのは当然です。
SXOはチャンスです
一口にコンテンツの質の向上と言っても、実際はものすごく難しい課題ですよね。
競合他社の膨大なコンテンツを質・量の面で追い抜くのは、実際問題不可能と言えます。
しかしSXOは、それ以外に誰でも取り組める部分がランキング要素になります。
その意味で競合他社に対して勝負できる確率は上がると思います。
自身の体験に基づくコンテンツは差別化が図れる
コンテンツにおいて「自分の体験」を情報にする事は、他の誰にも提供できないあなただけの「オリジナルコンテンツ」となり得ます。
「自身の体験に基づくコンテンツ」はWEBサイトの強みとなって、同じ境遇のユーザーを満足させる事ができるはずです。
この辺りはいずれも、Googleの品質ガイドラインにもきちんと載っている内容です。
このSXOの台頭を「チャンス」ととらえて、是非チャレンジして欲しいと思います。
まとめ
今回は「SXOとは何か?」についてご紹介をしてきました。
ここでSXOに関するポイントをまとめておきましょう。
SXOのポイント
・SXOとは「検索体験最適化」のことでユーザーの検索満足度を上げる対策です。
・SEOとの違いは最適化する対象が、検索エンジンかユーザー体験かの違いです
・SEO対策の一要素としてSXOが含まれています
・SXOでもGoogleのガイドラインに沿ったサイト対策が引き続き必要です
・自身の体験を書く事はユーザーを満足させるカギになります
SXOはユーザーの検索満足度を上げるSEO対策です。
検索エンジンに好かれるサイトである前に、「ユーザーに好かれるサイトで在りたい」というのがSXOの本文ですね。
とにかく良いコンテンツを作る事、そして使いやすいWEBサイトである事を心がける必要があります。