ドメイン変更時のSEOフロー(デメリットを最小限に抑える術)
SEOにおけるWEBサイトのドメイン変更をするポイントは以下です。
・ドメイン変更には様々なデメリットがある
・ドメイン名変更には必ずサーバー引っ越しが必要
・SEOの価値はドメインに対して付与されている
・SEOを継承するためには転送リダイレクトが必須
・リダイレクトは旧ドメイン側に設定する作業
・ページ単位で「対」となるページへリダイレクトさせる
・Googleにもドメイン変更を把握する機能がある
・リダイレクトは一定期間続ける
・そのために新旧両サイトをしばらく維持する
・SEOを100%継承できる訳ではない
WEBサイトのドメイン名の変更とは?
ドメインの変更とは例えば「aaa.com」というドメインだったWEBサイトを、「bbb.co.jp」等の別名のドメインに変更して表示する事です。
まず原則として、WEBサイトのドメイン名はむやみに変更するものではありません。
自分のサービスや屋号にマッチしたドメインを最初から選択しているはずなので、特別な理由がない限り変更は避けるべきと思います。
その必要性がある場合のみに実施
基本的にどのドメイン名でどのようなWEBサイトを運営するかは運営者の自由です。
大切なのは展開しているサービスや屋号とドメイン表記が常にマッチしている事でしょう。
ですので仮に諸事情でマッチしていないのであれば、ドメイン変更は検討するべきでしょう。
対外的なPRの必要性
例えば、個人経営だった仕事を法人化する際に、それまで.comだったものを.co.jp(法人ドメイン)に変更するなどのケースは確かにあります。
この時に合わせて、自身の会社名と同じ名前のアルファベットをドメイン名称に使うなどの変更が考えられます。
ドメイン名変更とはWEBサイトの引っ越しを意味する
基本的にWEBサイトは、データはそのままドメイン名称部分のみを別名に変える事はできません。
ドメイン名とサーバーの区画が1対1で紐づいているためです。
一度名称を付けたサーバー区画は名称変更はできない
例えばマンションの「203号室」があったとして、部屋の中身はそのまま「205号室」に名称変更はできませんよね。
これと同じです。自分の住所を205号にしたいのなら205号室に引越ししないといけません。
ドメインを変更するという事は、新しいドメイン名で別にサーバー契約をし、そこにデータを引越しする事を意味しています。
ドメイン変更がされるケース
組織変更に伴う属性ドメインの変更
上記で説明しましたが「法人化に伴う属性ドメインの変更」などがその例の一つです。
.comから.co.jpなどへ属性自体が変わる場合ですね。
同じ法人でも会社名が変わったりすれば、それに伴いドメイン名称部分を変更する事もよくあります。
無償サービス提供終了に伴う既存URLの停止
もう一つよくあるのが、それまで無料運営されていたWEBサイトのサービスが終了してしまうケースです。
利用していたURLはそのサービス側が提供するドメインである事が多く、サービスが終了するとそのドメインを引き続き使い続ける事はできなくなります。
この場合独自ドメインを新たに取って、サーバーを借りて再出発する事になりますね。
※この件はよく問い合わせを受けます。何とかならないかと言われますが無理なんですよね。
単純なドメイン名変更
あまりケースとしては少ないかも知れませんが、何となくドメインを別表記に「変更したい」場合もある事でしょう。
これは上記2つと比べるとあくまで任意なので、変更しないままずるずると伸ばし延ばしになる場合がありますね。
ドメインを変更するデメリット
実はドメイン名を変更する事には様々なデメリットがあります。
ですので頻繁に変更しないで済むよう様に、ドメイン名は慎重に選ぶ必要があります。
主なデメリットを下にご紹介します。ちなみにメリットと呼べるものはありません。
SEO効果がゼロに
それまでWEBサイトが持っていた検索順位などの評価は全て「WEBデータ」ではなく、ドメインが持っています。
汗水たらして実施してきたSEO評価も全て、このドメインが保有する価値なのですね。
ですのでWEBサイトはそのままでドメイン名だけが変わると、それまで持っていた検索順位は一気に下落していきます。
ドメインパワーがゼロに
ドメイン自体にも運営履歴という形で評価が付き、その年数が多いほど価値が高いとされています。
これがいわゆる「ドメインパワー」です。新規に取得したドメインのドメインパワーは「0」です。
中古ドメインなどが売れているのはドメインパワーが少しでも高い方が価値があり、SEO評価につながるとされているからです。
外部リンク効果がゼロに
外部リンクはSEO対策の評価基準の中でも最も重要な要素の一つです。
この外部リンクもドメイン名が変わればリセットが掛かってしまいます。
それまで貼られていたリンクではリンク切れするのですから、培ってきた外部リンクによるSEO評価も振出しに戻ってしまうのです。
ドメインメールの変更
ドメインを変えると、WEBサイトだけではなくドメインメールにも大きな影響があります。
ドメインメールのアドレス自体が変わるので、それまでやり取りをしてる全ての関係者の方にアドレスが変わる事を伝えなければなりません。
もちろん通知漏れは少なからずあるでしょうから、メールが届かないというトラブルにもつながります。
印刷物などの作り直し
それまで印刷物や名刺などに記載していたURLやメールアドレスの表記自体を変更しなければならない事も、もちろんコストにつながります。
一気に印刷物系を刷新する事はなかなか難しいため、新旧両方の情報が出ている期間も発生したりしますね。
SNSのカウント数もリセット
Facebookなどの「いいね」数もドメイン名が変わると基本的には一からスタートし直します。
この辺りはドメイン変更時の仕様になりますので、あきらめるしかないですね。
実はカウントを継承する方法も無くはありません(手間が掛かりますが)。
ドメイン変更時のSEO対策手順
この様に様々なデメリットが発生する訳ですが、それでも実施しなければならない場合はあります。
その場合は勇気をもって実施しましょう。
できるだけ元のドメインの価値・SEO評価を引継ぎつつ、ドメインを変更する方法をご紹介します。
新ドメイン取得
まずは新規ドメインの取得です。
先述しましたが何度も変更する事はリスクしかありませんので、十分な検討をした上でドメイン名を決定するようにしましょう。
本記事ではWEBデータは一切変えずにドメイン名の変更だけをおこなう事をベースに進めています。
データ準備(データは全く同じ場合)
既に今までのWEBサイトデータがある訳ですから、新たに準備する必要はありません。
しかし別サーバーに設置をしてデータを移設するWEBサイトの引っ越しはおこなう必要があります。
サーバーはドメイン名と紐づいた区画の変更はできない
繰り返しますがWEBデータが変わらないからと言って、今のサーバー契約はそのまま「ドメインの名称のみを変更する事」はできません。
ドメイン名が変わるのであればそのドメイン名で別にサーバーの区画を用意し、いわゆる引っ越しをする必要があります。
中身は同じでドメイン名だけ変更の場合
「aaa.com」から「bbb.co.jp」へWEBサイトデータの引っ越しが必要
この時両者は同じデータ
引っ越しと同時にaaa.com からbbb.co.jpに変わる
データ準備(サイト構成を一新する場合)
ドメイン名を変更する際に諸事情で全面的にサイトの作り直しをする場合もあるでしょう。
その場合は前もって一新したWEBデータを構築し、ドメインの変更時に同じくサーバー引越しをする事になります。
ドメイン名変更の時に中身も変える場合
「aaa.com」から「bbb.co.jp」へWEBサイトの引っ越しが必要
この時移転元と移転先は別データ
引っ越しと同時にaaa.com からbbb.co.jpに変わる
ドメイン名変更と同時にサイトリニューアルは危険
ドメインを変更する際、同時にサイトをリニューアルする事はお勧めしません。
SEOの価値はドメインに付与されていると説明しましたが、それはあくまでそれまでのWEBデータを元に算出された価値です。
サイトリニューアルをしてしまうと、Googleはその新データに対し再度評価をしなければならなくなります。
Googleを混乱させないために切り分ける
仮に順位が下がったりした時に、それがドメインを変更したからか、リニューアルをしたからなのかがわかりにくくなるからです。
中身は全く同じでドメイン名だけを変更して初めて、ドメインの価値をきちんと継承できたかどうかが測れると思います。
リニューアルはその後に検討するべきだと思います。
301リダイレクト設定の準備
ここからがとても重要な作業になります。
旧ドメインへアクセスした場合に強制的に新しいドメインへ転送をします。これが「リダイレクト」です
旧ドメイン名が持っているあらゆるURLは、転送リダイレクトにより新しいドメインのURLへ置き換わります。
これをおこなうと旧ドメインURLは存在しなくなります。
こうする事により、旧ドメインが新しいドメインへ移っている事がWEB全体に広がります。
リダイレクト設定の方法
リダイレクト設定は.htaccessなどでを掛けたり、元ページのヘッダーに記述するなど様々な方法があります。
会社概要ページリダイレクト例
aaa.com/corp.html → bbb.co.jp/corp.html
この様にすると、aaa.com/corp.htmlを訪問すると強制的にbbb.co.jp/corp.htmlへジャンプします。
このページに設置されていた外部リンクも同様にジャンプしてくれます。
リダイレクトでSEO価値を引き継ぐ
例えばとある検索で「aaa.comのTOPページ」が上位にあったとします。
aaa.comのTOPページはドメイン変更後はbbb.co.jpのTOPになる訳ですから、同じ順位にbbb.co.jpの表示が来れば理想ですよね。
リダイレクト設定を掛けておくと、1ページ目にあるaaa.comのタイトルをクリックするとbbb.co.jpのTOPが映ります。
aaa.comのTOPは直接アドレスを入力しても、bbb.co.jpのTOPが映ります。
これによりGoogleなどが「aaa.comのTOPはbbb.co.jpのTOPに置き換わった」と把握をしてくれるのです。
リダイレクト期間の目安
それまでaaa.comのTOPタイトルを表示していた検索結果が、リダイレクトする事で次第にbbb.co.jpのTOPのURLおよびタイトルを表示するようになります。
検索ページのURLが変われば新ドメインに置き換わった事になりますので、リダイレクトを掛けておく一つの目安となるでしょう。
しかし重要なのは全体で置き換わる事ですので、すぐに解除しない方が良いです。
コンテンツ構成が違う場合
ここが難しいところですが、元の構成とリニューアル後のサイト構成とが必ずしも同じでない場合があります。
その場合は「できるだけ」リダイレクトを掛ける事になります。
ページの整合性が取れないと判断される可能性もあるので、全く内容が違うURLへリダイレクトはさせないようにしましょう。
新サイト開設
リダイレクト準備がきちんと済んだらサイトを公開します。
WEBデータがそのままであろうがリニューアルされていようが、WEBサイトを別に開設する必要があります。
ですので新ドメインサイトの公開と同時にリダイレクト設定(.htaccessなど)をUPしましょう。
Google Search Consoleのアドレス変更ツール
アドレス変更ツールは、あるURLから別のURLにサイトを移行する時に使用するGoogle Search Consoleの機能です。
サイト所有者はドメインの変更が発生したことをGoogleに通知できます。
これによりGoogleはドメイン変更を迅速に把握できるようになります。
使ってはいけないケース
基本的にこのツールは内容は同じでドメイン名だけが変更される場合の通知です。
・httpからhttpsへのアドレス変更
・サイト内のある場所から別の場所へのページ移動
・ドメイン内のwwwありからwwwなしへの移転
上記のような場合はリダイレクト設定をきちんとかけておく必要があります。
含まれないケース
・下位のサブドメイン(以下のディレクトリ)
申請されたルートドメインであればサブディレクトリは全て通知の範囲に含まれます。
しかしサブドメインは別に申請が必要です。
.htaccessによる具体的なリダイレクト例
実際に.htaccessファイルを使ったドメイン名変更のリダイレクト設定の例をご紹介します。
これはドメイン名が変わるだけでデータは全く同じである事が前提です。
仮に違う箇所があれば、それぞれ別途設定が必要になります。
.htaccess記述例
「https://aaa.com/」から「https://bbb.co.jp/」に転送する場合
RewriteEngine On RewriteCond %{http_host} ^aaa.com RewriteRule ^(.*) https://bbb.co.jp/$1 [R=301,L]
転送結果
https://aaa.com/corp.html → https://bbb.co.jp/corp.html
https://aaa.com/service/type/ → https://bbb.co.jp/service/type/
これによりaaa.comの各ページが全て、bbb.co.jpにおける各ページに「対」となる状態で転送されるようになります。
301リダイレクト
301リダイレクトは「永久的な転送」、302リダイレクトは「一時的な転送」の意味になります。
今回は完全な継承ですから、元に戻る事はありません。なので「R=301」で301リダイレクトを使っています。
ドメイン変更SEOにおける注意
リダイレクトを掛けないとコピーサイト扱いになる
変更前と変更後とで全く同じデータを表示させる場合は、上記のGoogleのツールに頼りきりにならずきちんとリダイレクトを掛けましょう。
そうしないと内容が同じサイトのコピー扱いになり、ペナルティを受ける可能性もあります。
あくまで新しい方は古い方の継承サイトである事をアピールしなければなりません。
旧ドメイン側でリダイレクトが掛けられない場合もある
無償サービスなどサービス元のドメインを間借りしている場合は、ルール・仕様によりリダイレクト設定自体が掛けられない場合もあります。
この場合は正直打つ手立てなしです。今まで無料だった訳ですからできない事には目をつぶるしかありません。
諦めて古いサイトは削除し、新しいドメインサイトの情報が拾われるのを待つしかありません。
※リダイレクト設定は必ず「移転元」に対しておこなう設定であり、移転先に対しておこなう事では無いのです。
継承元がないと効果は継承できない
旧ドメインサイトを先に削除してしまうと、新しいドメインに効果を継承する事はできません。
新しいドメインに継承し終わるまで、旧ドメインサイトは維持し続ける必要があるのです。
ドメイン変更により旧ドメインサイトの存在は亡くなる
ドメイン変更によるSEOを維持するという事は、旧ドメインは新しいドメインサイトへ全て引継ぎされる訳です。
ですので旧ドメインは以降一切存在しない事になります。
ですのでリダイレクトを解除する場合は、同時かその前に旧ドメインサイトを解約するべきだと思います。
全てTOPページへのリダイレクトは禁止
とにかく価値を集約させたいからと言って、全てTOPページにリダイレクトを掛けるのはご法度です。
これは絶対にやらない様にして下さい。ペナルティを受ける可能性があります。
TOPページはTOPページ、サービスページはサービスページと1対でリダイレクトを掛けるようにしましょう。
リダイレクトはしばらくかけておく(サイトは2つ維持を続ける)
このリダイレクト設定により新しいドメインが価値を引き継ぐようになるまでには、しばらく時間が掛かります。
個人的に最低半年は維持した方が良いと思います。
その間は当然新旧両方のサイトを維持する事になりますので、その分のコストは発生します。
ドメイン変更のリスク
SEO効果を100%維持できる保証はない
ドメイン変更自体に大きな問題はなかったとしても、新しいドメインのパワーはゼロからのスタートです。
完全に元の状態を継承できる訳ではありませんので、SEO順位を全て維持できるものではありません。
多少のSEO評価下落があったとしてもそれには目をつぶり、新しいサイトとして精進し直すしかないと思います。
外部リンクはリンク切れします
リダイレクトによりSEOの価値は継承できますが、外部リンク等はリダイレクト設定を解除したら無くなります。
これもあきらめてもらう項目の一つですね。
これが嫌ならずっと2つのサイトを維持するか、外部リンク先が変わる事を設置先に知らせるなどが必要になりますね。
SNSシェアも大抵は最初からカウントし直しとなります。
まとめ
以上、SEOを維持したドメイン変更の方法についてご紹介しました。
ドメイン名を変更する際の一番のネックはSEO価値がゼロからスタートする事です。
何も対策をしなかったら一気に検索順位は落ちてしまいますので、いかにそれまでのドメイン価値を継承できるかがキモです。
そのポイントをまとめておきます。
SEOの価値を継承するドメイン変更のポイント
・ドメイン変更には様々なデメリットがある
・ドメイン名変更には必ずサーバー引っ越しが必要
・SEOの価値はドメインに対して付与されている
・SEOを継承するためには転送リダイレクトが必須
・リダイレクトは旧ドメイン側に設定する作業
・ページ単位で「対」となるページへリダイレクトさせる
・Googleにもドメイン変更を把握する機能がある
・リダイレクトは一定期間続ける
・そのために新旧両サイトをしばらく維持する
・SEOを100%継承できる訳ではない