モバイルファーストインデックス(MFI)への確認と対応
モバイルファーストインデックスはこれまで主軸としていた検索評価の主軸基準をパソコン版からモバイル(スマホ)版に変更します。
モバイルフレンドリーアップデートの様にモバイル対応していないサイトの順位を落とす措置ではありません。
パソコンとスマホとのコンテンツ数に差があるWEBサイトはチェック確認が必要です。同じコンテンツ数になるようレスポンシブルデザインを採用して準備しましょう。
MFI最新情報
メタデスクリプション(meta description)がないエラー追加
Googleはモバイルファーストインデックスにおいて改善が必須となる一般的なエラーの一覧を掲載しています。
Googleガイド:モバイルファーストインデックス登録に関するおすすめの方法
今回その一覧(英語版)に「Missing meta description」(メタ ディスクリプションがない)が追加されました。
つまりmeta descriptionの欄にテキストが入っていない事を警告するようになります。
現在は英語版のみ
現在上記の日本語ガイドページには今は盛り込まれていません。
現在は英語版にのみ反映がされている様です。なので程なくして日本語版にも追加されるでしょう。
問題の修正方法
スマホ版とPC版とで同じ内容になる様、metaタグのdescriptionをきちんと設定する事です。
descriptionはSEOに影響しないとされています
SEOの最新のノウハウとして、このdescriptionに何も入っていなくても検索順位には影響しないとされています。
確かに検索に影響する事はないのでしょうが、次の2つの点で meta descriptionタグは重要です。
descriptionが重要な理由
・スニペットに使われる場合がある
・ページの内容理解に利用される
ページ内の内容の把握や検索表示の際のスニペットに使われる訳ですから、直接検索順位に影響がなくても設定をしておくべきですね。
省略しているWEBサイトの担当者はすぐに改善をおすすめします。
モバイルファーストインデックス(MFI)とは?
Googleが発表した「モバイルファーストインデックス」(Mobile First Index)通称MFIをご存知でしょうか?
これまで検索エンジンは基本的に、パソコン(デスクトップ)で表示されるWEBサイトの内容をインデックスして評価判定にしていました。
Google(現在はYahooも)の検索サイトで順位を決めるSEOの評価基準は全て、パソコン上のWEBサイト内容を元にされたものだったのですね。
これまでのこのルールを一変させ、モバイルサイト(今はスマホサイト)を評価の主軸にしてインデックスする方針転換としたのがモバイルファーストインデックスです。
モバイルファーストインデックスMFIの経緯
モバイルファーストインデックスは、正式には2018年よりGoogle検索で実施されている方策です。
それまでは以下の大まかな経緯をたどっています。
2015年 | iPhone等の登場でモバイル市場が爆発的に広がる |
---|---|
2016年10月 | 米ラスベガスで開催された「PubCon Las Vegas 2016」において Gary Illyes(ゲイリー・イリェーシュ)氏が先行して計画を発表 |
2016年11月4日 | Googleが「モバイルファーストインデックス (MFI:Mobile First Indexing)」を公式発表 https://webmaster-ja.googleblog.com/2016/ 11/mobile-first-indexing.html 一部のサイトから徐々に適用 |
2018年3月27日 | Googleより公式にMFIに準拠した WEBサイトへの移行アナウンス |
2018年12月19日 | インデックスしたWEBページの半数以上に対し モバイルファーストインデックスを適用した事を発表 https://webmaster-ja.googleblog.com/2018/03/ rolling-out-mobile-first-indexing.html |
2020年2月27日 | MFI移行が整っていないサイトに対し 今後1年以内に全てのサイトのMFIへの移行をGoogleが名言 |
2020年9月 | この時期より強制的に全てのWEBサイトが MFIへと移行されるとアナウンス |
モバイルファーストインデックス実施前と実施後の違い
モバイルファーストインデックス実施前:
それまでは、まずはパソコン向けWEBページの評価を検索結果の判定に使用していました。
モバイルでの検索データは、パソコン向WEBけページの評価を基準に構成された検索結果がそのまま表示されていました。
モバイルファーストインデックス実施後:
MFI移行後は、モバイル向けページのSEO評価を検索結果の主軸判定に使用する事になります。
パソコン版の検索データについては、このモバイル向けページの評価を基準に構成されたデータがそのまま表示されます。
評価対象となるデータが逆転した事になりますね。
それまではサブ役の評価だったモバイル向けサイトデータが評価の主役となり、パソコン向けWEBサイトデータがサブ役に回ります。
なぜGoogleはモバイル版重視のインデックス基準にしたのか?
一番の理由はiPhoneの発売により、スマホ端末の市場が一気に拡大した事が挙げられます。
2015年にはスマホやタブレットからの検索流入量がパソコンでの流入量を抜きました。
Googleは、このインターネット端末の変遷によるユーザーの検索行動の変化を見逃しませんでした。
パソコンよりも、スマートフォンやタブレットから検索を利用している人のほうが多いという現実に、迅速に対応する必要があったのです。
以下にいくつか具体的な理由を挙げていきましょう。
検索流入の逆転は自然な事
パソコンは場所が限定される
パソコンはノートパソコンでない限り基本的に持ち運びできませんし、パソコン自体を起動するのにも時間が掛かります。
それに操作するときは、大概が室内で机に向かって検索をしないといけません。
それに対して、スマートフォンは屋外でいつでもどこでも利用ができます。
いつでもどこでも使えるスマホ
基本的に携帯電話なのですから、いつでも持参していますよね。
電車の待ち時間やヒマで手持ち無沙汰な時、ちょっとした調べ物をするなど、いつでもどこでも利用できます。
特に検索においてはパソコンでよりスマホでの方がはるかにやりやすく、利用条件が限定されない事も大きな利便性の差を生みました。
これにより自然と検索流入数の逆転が起こったと思われます。
逆転前はモバイル検索自体が少なかった
それまではパソコン検索ユーザーの方が圧倒的だったので、パソコン版サイトデータを元にしてユーザーのニーズに対応していました。
何よりモバイルページの量自体がまだまだ少なかったという現実もありましたね。
たまにモバイル検索したユーザーに対して中途半端な結果を見せていたとしても、絶対数が少ないので大きな問題にはならない訳ですよね。
※何よりユーザー自身もある程度納得していたはずです。
逆転後は検索ニーズに情報がマッチしない
ところが徐々にユーザーがiPhoneなどのスマホ端末を使い出すようになりましたよね。一気にその波は広がりました。
同時にユーザー自身にも「みんなスマホを使っている」という認識も浸透したと思われます。
ここでスマホから検索している人のほうが多くなってくると、検索ユーザーが最初に見るページが「モバイルページである」事の方が多くなります。
パソコン順位でスマホの評価が隠れていた
この頃は下の方でも説明しますが、スマホページは予算の都合もあり、主要部分だけにまとめた簡易版を表示している事が多かったのです。
このように十分なスマホ版コンテンツを用意していないWEBサイトであっても、パソコン版の評価が高ければSEO検索順位では上位にいたりする訳です。
ではスマホで検索ニーズを満たそうとするユーザーが、簡易版情報のスマホページばかりを見せられたらどうでしょうか?
十分な満足は得られませんよね。
Googleの信頼問題につながりかねない
このままでは最終的に、Google顧客満足度自体も損なわれてしまう可能性があります。
ユーザーのニーズに対して表示される検索結果が対応できていると言えない状態になったのです。
このような状況を踏まえ、Googleはモバイルサイトを検索結果判定の基準に変える事にしたわけです。
スマホ特有の画面の小ささ
加えてスマホ未対応のWEBサイトはスマートフォンの小さな画面では縮小されて表示されます。
もともとWEBサイト自体がデスクトップ等の広い画面で表示する事を前提に作られているからですね。
ですのでスマホの縦長の画面でみると非常に見にくく、かつバナー画像ボタンやリンクも指でタップする部分が小さくて押しづらいですよね。
こういった画面はユーザーにストレスを与えてしまい、他のホームページへ逃がしてしまう離脱率がかなり高くなります。
特に他社がモバイル版をきちんと整備していればそこで成約、という事が大いにあり得ます。
チェック:モバイルフレンドリーとは別物
既にモバイルフレンドリーアップデートは実施されています
このMFIのお話とは全く別で、モバイルフレンドリーアップデートというのが2015年にGoogleより実施されています。
そのアップデートによりモバイルサイトの準備が不十分なサイトはSEO順位が下がる事になっています。
この順位低下の設定はいま現在も効果を及ぼし続けているのですね。
今回のモバイルファーストインデックスは、インデックス先をモバイル版に変えるという事であり、このモバイルフレンドリーアップデートとは全く別ものです。
モバイルファーストインデックスの影響を受けるWEBサイト
スマホサイトではパソコンサイト一部のページのみを準備しているというWEBサイトもまだ多い様です。
このようにスマホサイトのコンテンツが極端に少ないWEBサイトは、モバイルファーストインデックスにより悪影響を受ける可能性があります。
それは何故でしょうか。
スマホ版ページの制作・維持はコストが掛かっていた
今まではパソコンサイトのコンテンツをもとにページのクオリティを判断していましたよね。
ですので主要ページのみでスマホサイトを構成した形でも、SEO順位に大きく影響することはありませんでした。
何より「全ページのスマホ版を準備するのは制作・維持ともにコストが掛かっていた」という理由もあります。
WEBサイトを更新しようとするとパソコン版とモバイル版とで2回更新する必要があり、手間と費用がかさんでいたのです。
中途半端なスマホサイトだと評価されるコンテンツが減少する
しかしモバイルファーストインデックスが適用されると、上記のようなWEBサイトが課題を抱えます。
検索エンジンのインデックスの判定基準がパソコンサイトからスマホサイト側に変更されます。
その場合主要ページしかスマホ版の対応をしていないと「評価されるコンテンツ数が少なくなる」可能性があるからです。
コンテンツに差がある程危険
例えば、パソコンサイトが20ページあってスマホサイトが主要5ページしかなったら、MFIでインデックスされるのはまずはスマホの5コンテンツになるのですね。
この場合、SEO順位に影響する可能性はあると言えます。
各ケースごとのモバイルファーストインデックスへの対応策はこちら
モバイルファーストインデックス確認・通知
自分のWEBサイトがこのMFIに移行しているかどうかを確認する方法をご紹介します。
Goole search consoleを開きましょう。
確認方法
左袖メニューから対象WEBサイトデータを選んで下にある「設定」をクリックします。
表示されたページの概要の欄に「インデックスクローラ」の記載があります。
ここが「スマートフォン用 Googlebot」と記載があれば、MFIに移行している事を指しています。
それに対しここが「パソコン用 Googlebot」であれば、まだ移行していない事を意味していますね。
Google search consoleの設定、概要欄
通知方法
サーチコンソールに届く通知について
モバイルファーストインデックスが適用されたWEBサイトにはGoole search consoleに以下のようなメッセージが届きます。
Googleからの通知例
モバイルファーストインデックスに対応する方法について
一番はレスポンシブルデザインを採用する事
モバイルファーストインデックスに対応するためには何よりもWEBサイトのスマホ対応をしておくことが必要です。
モバイルページであってもパソコンサイト同様、メインコンテンツを省略せずにしっかりと表示させなければなりません。
その最善策がレスポンシブデザインによるパソコン・スマホ一体型レイアウトを採用する事ですね。
レスポンシブルデザインとは
レスポンシブルデザインは1つのデータをPC用・スマホ用で幅を切り替えて見せる事ができるデザイン手法です。
レスポンシブルデザインを使っていればパソコンサイトのページ数とスマホ版のページ数は常に同等です。
同等のコンテンツを維持する点でもレスポンシブデザインを適用していれば問題なくクリアできます。
つまり順位変動などの影響を受けないと考えられます。
あわせて読みたい関連記事
モバイルフレンドリーテスト
スマホ版を準備したら、Google search consoleのモバイルユーザビリティを活用しましょう。
モバイル用にページデザインが最適化されてるかチェックをする事ができます。
Googleが検索評価をしている訳ですからGoogleに判断してもらうのが一番です。
Google search consoleのモバイルユーザビリティ
上記の様にページ単位でモバイルフレンドリーかを確認する事ができます。
一つ一つ修正をしていけばモバイルフレンドリーなサイトを構築する事はそれ程難しくありません。
モバイルファーストインデックス後のページスピードの評価
ページの表示速度については紆余曲折ありましたが、2018年7月にSpeed Updateが適用となることがGoogleより公式に発表がありました。
MFIに関わらず、モバイルの検索結果順位にはモバイルサイトのページスピードが順位に反映されるようになっています。
これはMFIよりもモバイルフレンドリーアップデートの新しい評価要素と言えるでしょう。
page speed insights
下記サイトにてページの表示スピードを測る事が可能です。
あわせて読みたい関連記事
よくある質問
必ずレスポンシブデザインにしなくてはいけないのか
WEBサイトはMFI移行をするにあたり、必ずしもレスポンシブデザインにしなくても大丈夫です。
Googleはモバイル対応のサイトとして、レスポンシブデザインのサイトを含めた3つの構成をサポートしています。
・レスポンシブデザイン(PC・スマホで同じページをレイアウトを可変させて表示させる)
・別々のURLを用意する(https://example.com/ とhttps://m.example.com/ など)
・動的な配信(URLはPC・スマホ共通だが、PCとスマホでアクセスした際に別々のソースを準備してコンテンツを出し分ける)
細かい設定についてはGoogle公式ガイドラインを参照してみて下さい。
パソコン版サイトは検索結果に表示されないのか
パソコンサイトのままであっても、パソコンの検索結果・モバイル版の検索結果の両方にきちんと表示されます。
モバイルファーストインデックスが適用されているWEBサイトについてはモバイル版のクローラーがたくさん巡回してきます。
仮に適用されていないサイトについても、PCのクローラーが巡回してサイトの内容を確認しつつ、検索結果に反映されます。
パソコンサイトのみだったらSEO評価が下がるのか
モバイルファーストインデックスはインデックスをする対象としてモバイル版を優先するという意味です。
その観点からみると厳密には評価が下がる事を意味するものではありません。
ただしモバイルファーストインデックスを実施するよりも前(2015年)に「モバイルフレンドリーアップデート」というアップデートが導入されています。
モバイルフレンドリーアップデート
これはモバイル対応されていないサイトは、モバイル検索のSEO順位が下がる可能性があるという主旨のものでした。
このアップデートの影響によりまだモバイル対応がされいないWEBサイトは、既にモバイル検索順位が下がっている可能性はあります。
その意味ではスマホ版サイトを準備する事で今の順位が向上する可能性は大いにあります。
PCサイトとモバイルサイトでURLが違うと順位が下がるのか
先述した通りGoogleは別々のURLで構成されているサイトもサポートしています。
ですので正規化などの設定が間違っていない限り、SEOの順位が下がったりする事はありません。
どのようにインデックスされるのか
MFIのインデックスはページ単位ではなく、サイト単位で行われます。
移行が適用されれば、サイトの巡回のほとんどをスマートフォン用 Googlebotがおこなう様になります。
通常のインデックスとは別のインデックスがおこなわれる訳ではありません。インデックス内容は一つです。
モバイルファーストインデックスが適用されると今の順位への影響はあるのか
モバイルファーストインデックスは、インデックスの優先順位に関する措置です。
既にレスポンシブルデザインなどを採用しているのであれば、適用されて順位が下がることはありません。
Googleの公式ブログでも以下の様に記載があります。
コンテンツがMFIによって集められたものであったとしても、パソコン版のコンテンツに比べてランキングに優位性があるというわけではありません。
まとめ(2020年9月より強制移行)
ということで今回はモバイルファーストインデックスについての影響や対応策についてご説明しました。
モバイル版ページを同レベルで準備することがモバイルファーストインデックスに備えておく最善策となりますね。
一つ注意なのはパソコン版とモバイル版のページ数に大きな差があるWEBサイト(スマホ版ページが少ない)の場合ですね。
インデックスされるコンテンツ内容が大幅に縮小される事を意味しますので、検索順位への影響が懸念されます。
それにまだスマホ版ページ自体を準備していないサイトもある様ですので、まずは何よりも対策を優先されて下さい。
MFIは2020年9月から強制移行
MFIの発表当時Googleは以下のように回答していました。
このMFIの実施によりなるべく大きな差が出ないようにすることを目指している。実験の今の段階では違いは出ないはず。
モバイルファーストインデックスを進めるにあたっても、まずはスマホ準備がされているサイトから移行していく形を取っていました。
つまりまだ未準備の(変更されると順位に大きく変動が予想される)サイトは移行を先送りにしていたのですね。
そんな状態を続けていたGoogleも今年2020年9月より強制的に全サイトを移行すると決定しました。
まだスマホ版ページの準備が不十分な方はSEOのために早めに設備を整えておきましょう。
2020年6月6日追記:MFI強制移行延期の可能性
新型コロナウイルス感染症の影響もあり、スマホ版コンテンツの整備の停止・遅延が予想されるため、延期の可能性が出てきました。
正式な発表があり次第ご報告します。