
SXG:キャッシュデータを高速表示しつつドメイン名で表示させる技術
SXGとはキャッシュサーバーからWEBページを表示させる技術で、WEBページ表示速度を向上させる事ができます。
LCP値の上昇とともにユーザーの満足度を向上させる事ができるため、SEOランキングに影響します。
AMPの場合ドメイン名が変わってしまいますが、SXGはドメイン名をそのまま使う事ができます。
SXGによるサイトデータの高速表示
SXGとは「Signed HTTP Exchanges」の略で、今注目されているブラウザ技術の一つです。
WEBサイト表示を高速化する事ができるので、SEOにも非常に有効な手段とされています。
本記事では今注目の技術「SXG」について解説します。
キャッシュサーバーデータを本来のドメインで表示できる
SXGとは簡単に言うと、WEBサイトのアドレスバーにキャッシュサーバーのURLではなく、本来のドメインURLを表示する技術の事です。
ネット閲覧時に目的のドメインサイトを開いたはずなのに、アドレス欄に全く違うサーバーのURLが表示されている事がよくあります。
これは管理者があえてその様な仕組みにしており、実際に別サーバーからデータを表示しています。
ただ見せているデータは本来のWEBサイトと全く同じものなのです。
同じような技術でAMPが有名ですよね。
SEO要因の一つ「LCP高速化」を実現
WEBサイトをあえてキャッシュサーバーから配信する一番の理由は、「表示速度の向上」によるLCP値の獲得です。
普通にWEBサイトを表示させるより、キャッシュサーバーから表示させる方がスピードが段違いに早い訳です。
LCPとはコアウェブバイタル3指標の一つであり、ページ内でメインの大きな動画や画像、コンテンツブロックが表示されるまでの待機時間を指します。
LCPが上がればユーザーの満足度向上につながりますので、SEO評価にもつながります。
ですのでこのLCPの数値を上げる事は、サイト管理者にとって重要な課題なのです。
URLがキャッシュサーバーのURLになる
ただしキャッシュサーバーから表示させる訳ですから、そのURLはキャッシュサーバーのドメイン名で始まります。
ユーザーによっては、アドレスが違う事で「怪しい」と思う人もいるでしょう。
そういった不安を払しょくするため、URLを本来のドメインURLで表示させる技術がSXGです。
AMP(アンプ)とは?
SXGの前に、その前身となるAMP技術についておさらいしておきましょう。
AMPとは「Accelerated Mobile Pages」の略で、GoogleやTwitterが進めるオープンソースプロジェクトです。
AMPは、そもそもPC環境向けに作られたWEBページを、スマホ環境でも快適に閲覧できる様にする技術です。
AMPは、AMP HTMLの仕様に沿ったWEBページを作成する必要があります。
AMPの特徴
AMPに対応したページは、検索タイトルの隣に稲妻アイコンが表示されます。
つまりそのサイトがAMPに対応しているかどうかが、訪問する前にわかるのです。
AMPを知っているユーザーはこのサイトの表示が早い事を知っているため、より訪問しやすい傾向にあります。
AMP導入のメリット
AMPを導入するメリットは様々なありますが、代表的なものを紹介しましょう。
・表示速度が速くなり、滞在時間や回遊率が上がる
・データ転送量が少なくなる
・リッチカードとして表示されやすい
・検索順位に良い影響が出る
・先読みして準備するプリフェッチ
プリフェッチ機能
中でも特にすごいのは、5番目のプリフェッチ機能ですよね。
プリフェッチとは、検索結果を表示した時点でリンク先データを前もってスマホに保存する機能の事です。
あくまで予測ですから訪問されない可能性もありますが、訪問された時は素早く表示する事ができる訳です。
このプリフェッチ機能により、オフラインの状態でもWEBページを表示する事ができます。
AMPのデメリット
・導入に手間が掛かる
・アドレス欄に本来のドメインとは違うURLが表示される
SXGはこのアドレス欄が変わってしまう問題を解消できる技術です。
AMPはCNAMEレコードの設定などしないため、そのままキャッシュサーバーのURLが表示されてしまう訳です。
CNAMEを設定すれば、例えばwww付きサブドメインで別サーバーを読み込みする事ができる様になります。
ただCNAMEはホスト名が必要になるので、ページ単位での設定はできません。
SXGの導入
管理者のドメインを表示できる
SXGは、モバイル端末で高速表示するAMPデータをユーザーがさらに安全に閲覧できるよう開発された新しい技術です。
AMPに対応したページが「SXG用電子証明書」により署名さされれば、管理者ドメインURLがアドレスバーに表示できるようになります。
厳密にはGoogle Chromeブラウザ上でURLを変換していきます。
これによりWEBサイト所有者のURLのまま高速表示させる事ができるので、ブランド力や収益・トラフィックにも高い効果が見込めます。
つまり今まで通りキャッシュサーバーから表示しているのですが、ドメインが本来のWEBサイトのドメインなので、ユーザーに違和感を与える事が無くなる訳です。
セキュリティ面の強化
通常のAMPデータはGoogleのキャッシュサーバーから配信されます。ですのでURLはGoogleのURLになっています。
ふと疑問に思うのが「本当に元のサイトとAMPデータが全く同じデータかどうか」です。
オリジナルのサイトの情報が必要なのに、それとは違う内容のページを見ている可能性もゼロではない訳です。
これは単に双方の情報に差異があるだけでなく、改ざんの危険性も含まれます。
SXG対応はセキュリティ証明になる
しかしSXG対応の証明書の署名がされれば「WEBページが改ざんされていない」事が証明され、セキュリティを担保できます。
ただしSXG証明書の発行条件として、その有効期限を90日間以下にするという厳しい条件があります。
その他
SXGは、どこから誰からでも入手可能な証明書になります。
事前にSXGファイルを読み込むプリフェッチ機能で、端末がオフラインでもページを表示する事ができます。
ただし対象のWEBサイトはキャッシュ可能なコンテンツである事が条件です。
SXGはAMPサイトでなくてもプリフェッチできる
2021年4月Googleは、Googleモバイル検索結果でSXGデータ配信サイトに対してプリフェッチが行われるようにしました。
これはAMPサイトだけでなく、通常のWEBサイトに対しても有効になります。
プリフェッチとは
プリフェッチとは、事前にデータを読み込む技術です。
検索結果を表示した際、事前にSXGファイルをキャッシュサーバーから取得します。
クリックする前からSXGファイルがスマホ端末に保存されている訳ですから、表示は当然早くなります。
初めて訪問するユーザに対して、表示パフォーマンスの向上が期待できますね。
Non AMP SXG
GoogleはこれをAMPを使わないSXGとして「Non AMP SXG」と称しています。
つまりAMPサイトをあえて構築しなくても、SXGを採用すると様々なメリットがある事になりますね。
現在SXGはモバイル検索でのみサポートとなっていますが、まもなくGoogleはこれをPC検索でもサポートするそうです。
つまりGoogleはこのSXGを強く推している事になりますね。
SXG証明書
SXG証明書とは、SXGを使用しているページをSSL化(https化)するための証明書の事です。
ですので本来のWEBサイトのSSL化(SSL証明書発行)とは違います。
証明書の有効期限は最大90日と短いです。
SXGデータを見せる場合、通常のSSL化する方法ではできないという事になりますね。
証明書発行に関する条件
DNSにCAA(Certification Authority Authorization )レコードが必要になります。
CAAレコードとは、ドメイン、サブドメインの証明書を発行できる認証局を制限できるものです。
対応ブラウザは、Google Chrome73以降とMicrosoft Edgeのみで、SafariとFirefoxは現在未対応です。
まとめ
今はまだAMP化するのも簡単な環境ではありません。誰でも実装できるようなインフラが普及していないのが現状です。
そして苦労してAMP化させても、ドメイン名が表示されないという最大のネックがあります。
ですがAMPとは別の技術も確立されてくるのは嬉しい事ですよね。
導入するならSXGか
SXG化すればドメイン名を表示できる事はもちろん、SSL化する事も可能です。さらにAMPと同様にプリフェッチ機能も有効です。
今から始めるのであれば、AMPにせずSXGを採用するのが良いのかも知れません。
しかしSXGを導入するにも専用システム構築が必要となるため、一般利用にはハードルが高いと言えます。
しかし今後AMPやSXGの技術が広まっていけば、こういった機能を提供するホスティングサービスが増えて行く可能性はあります。
今後の動向を待つのも一つの手でしょう。