小規模企業共済のメリットデメリット、フリーランス・個人事業主

小規模企業共済のメリットデメリット、フリーランス・個人事業主

小規模企業共済のメリットデメリット、フリーランス・個人事業主

小規模企業共済はフリーランスや個人事業主が退職金として積み立てできる制度です。

掛け金は全て所得控除ができるので節税になります。加入者には貸付制度もあります。

退職金として受け取る共済金は退職所得控除ができますし、仕事を廃業した時だけでなく法人化した際にも利用できます。

小規模企業共済とは

フリーランスや個人事業主には退職金がない上に、公的年金の金額も会社員には遠く及びませんよね。

そこでその老後の不安を軽減できる「小規模企業共済制度」という制度があります。

小規模企業共済制度は、個人事業主やフリーランスが事業をやめたときの退職金として利用される共済制度のことです。

小規模企業共済は退職金代わり

いわばフリーランスのための退職金制度ですね。

独立行政法人の中小企業基盤整備機構が運営しており、多くの利用実績がある安心して使える制度となっています。

小規模企業共済制度に加入していれば、廃業したり法人が解散・役員の退任などがあった時

・生活資金
・退職金
・事業資金

として利用する事ができる便利な制度です。

退職金以外にも将来の年金対策は必要です

小規模企業共済の詳細

加入対象

宿泊業・娯楽業を除いたサービス業を営むフリーランスや個人事業主が対象になります。

従業員が5人以下であれば小規模企業共済に加入できます。

フリーランスエンジニアとして1人で仕事していてももちろん小規模企業共済への加入が可能です。

中小企業の役員も加入できる

個人事業主だけでなく中小企業の経営者や役員も加入できます。

この場合掛け金を会社の経費として落とす事ができませんが、経営者や役員の所得から全額控除されるので個人的な節税につながります。

掛金・納付方法

月額1,000円から7万円まで自由に掛け金を選ぶ事ができます。(途中で増額したいときは限度額の7万円まで)。

ただし減額が認められるのは疾病または負傷、売上減少、支出増加などにより経営状態が著しく悪化した場合などのみです。

掛け金は前納する事ができますので、年末に月々7万円の掛け金で加入して1年分前納すると、84万円分を所得から一気に控除する事ができます。

前納の割引

掛金を半年や一年などで前納すると、ほんの少しですが割引があります。

割引き分は毎年3月末時点の前納状況で計算し、合計額が5,000円以上になったら6月に入金されます。

その他

払込は基本的には口座振替ですが、初回申込時にのみ現金で納付する事になっています。

もし業績がおもわしくなくなったり災害・入院などで納付が難しくなったら、掛け止め(半年 or 1年)もできます。

小規模企業共済のメリット

小規模企業共済のメリット

掛金は全額所得控除の対象になる

小規模企業共済として納めた掛金は確定申告の際に「小規模企業共済等掛金控除」として所得から全額控除できるので、節税につながります。

共済金の受け取り方法が選択できる

将来の退職金となる共済金は、「一括」「分割」「一括と分割の併用」の3種類から受け取り方を選べます。

一括で受け取った場合

共済金を一括で受け取った場合は「退職所得」扱いになり、退職所得控除として確定申告すれば節税につながります。

年金(分割)として受け取った場合

この場合税法上「公的年金」と同じ扱いとなりますので、税金は普通の所得金と比べて額が半分程度に抑えられます。

ちなみに掛金を納めた期間が長いほど一括で受け取る際の退職所得控除の金額が高くなるので、早めに申し込んでおいた方が有利となります。

貸付制度を利用できる

小規模企業共済で利用できる貸付制度(掛け金の7割程度)の例をご紹介します

・事業資金を借り入れられる一般貸付け
・地震・台風・火災などの災害時における災害貸付け
・資金繰りが悪化した時に借り入れできる緊急貸付け

※借り入れの限度額や借入期間、返済方法、利率などは各制度によって異なります。

小規模企業共済のデメリット

小規模企業共済のデメリット

誰でも入れる訳ではない

小規模企業共済には個人事業主または小規模企業の役員しか加入できません。

サラリーマンは小規模企業共済に加入できないのですね。

加入・対応窓口が限定されている

小規模企業共済の手続きは、中小機構と業務委託契約のある団体か金融機関の窓口で直接訪れておこなうう必要があります。

ゆうちょ銀行やインターネット専業銀行等では取扱いしていません。ネットでの申込はできません。

それに掛け金の増減などは郵送で手続きすることになります。

預貯金と違って引き出す事ができない

当たり前のことかもしれませんが、この共済は預貯金と違って引き出す事ができません。

この制度も預貯金と違って一旦納めたら引き出す事ができません。引退や廃業した時にのみ受け取る様になっているためです。

途中解約の場合に条件がある

小規模企業共済は事業を廃業しなくても任意に解約(途中解約)ができます。その際は解約手当金が出ます。

納付期間が1年未満の場合

加入後1年未満で解約をする場合、この解約手当金自体が受け取れません。

納付期間が20年未満の場合

さらに加入後20年未満で解約をする場合、それまで支払った掛金の全額を受け取ることができません。

※一般的には加入期間が短く掛金が低く年収が低い状態ほど、途中解約の場合に損をしやすいとされています。

小規模企業共済に加入して20年も掛金を支払い続けるべきかどうか、フリーランスにとっては迷う所でしょう。

しかし加入している間は毎年所得控除があるので、トータルではお得なのではないでしょうか。

※1年以上の納付滞納などで契約が強制解除された場合も、途中解約と同じ扱いになります。

小規模企業共済への加入方法

提出書類

フリーランスの方が小規模企業共済に加入する際は、下記の3種類の書類を準備しましょう。

・確定申告書の控え
・契約申込書
・預金口座振替申出書

なお、確定申告書や開業届の控えには税務署の受付印が必須となります。

e-Taxでの申告の場合

e-Tax(電子申告)で手続きをしているために税務署の受付印がない場合があるでしょう。

その場合は確定申告書や開業届の控えと一緒にe-Taxの受付結果の確認画面(メールなど)を提示してください。

提出先

小規模企業共済の申し込み手続きは下記のいずれかの機関で行います。

・金融機関の本店あるいは支店
・商工会連合会
・市町村の商工会
・商工会議所
・中小企業団体中央会など

ゆうちょ銀行や新生銀行あおぞら銀行などは小規模企業共済を取り扱っていないためご注意ください。

審査に40日掛かります

約40日審査に時間が掛かります。審査が通れば「小規模企業共済手帳」が送られてきます。

加入すると毎年「今まで振り込んだ掛け金合計」や「今借りられる金額」などが郵送されてきます。

審査に時間が掛かる事に注意

その年に小規模企業共済などの掛け金控除を受けるためには、年末までに手続きと掛け金の支払いを終了しておく必要があります。

手続きに40日の審査が掛かるので、前持って段取りが必要ですね。

共済金の受け取りについて

ケースによって異なる共済金の種類

フリーランスの場合、受け取る共済金の種類は4つのタイプに分けられます。

・共済金A:個人事業を廃業した場合、あるいは契約者が亡くなった場合
・共済金B:65歳以上で15年以上掛金を払った場合(老齢給付)
・準共済金:個人事業を法人化して、加入資格がなくなった場合
・解約手当金:任意解約した場合、法人化した後も加入資格はあるが解約した場合

共済金Aについて

基本的にはフリーランスとしての活動を辞めたとき(個人事業を廃業したとき)に、この共済金Aを受け取る事になります。

準共済金について

小規模企業共済は個人事業を廃業し、事業を法人化した時にも受け取れるので、個人事業から会社へ法人化に向けた資金をためる際にも利用できます。

個人事業の時に積み立てた共済金を、会社を設立する際の「資金作り」にするという感じですね。

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