
フリーランスは事業に絡めて生活費を経費計上すれば節税になります
フリーランスと経費
フリーランスになったら、毎年ご自身で所得を計算して納税する必要があります。
これが以前ご紹介した「確定申告」と言います。そこでも述べた通り、確定申告をする際には「経費」がとても重要な項目になります。
その経費に応じて課税所得および納税金額が決定するため、経費を自身で把握していなければ税金を納める事ができません。
売上を減らすか経費を増やすかの2択
納める税金は売上を減らすか・経費を増やすかで決まります。
個人事業主・フリーランスの所得税は、課税所得に対して掛かってきます。
売上から掛かった経費を差し引いたものが事業所得であり、それから所得控除を差し引いた金額が課税所得です。それに対して税率が掛かるのですね。
・売上1,000万円-経費600万円=事業所得は400万円
・400万円-所得控除=課税所得
・課税所得×金額ごとの税率=所得税(住民税の一部)
税金を減らすためには
税金を減らすためには売上を減らすか・経費を増やすか、この2つしかありません。
ほとんどの節税対策は突き詰めていくと上記のどちらかに当てはまる事になりますね。
売上は操作できない
ただし下手に売上を減らそうとすると、事業自体が縮小する事になりますじ存続自体に影響が出てきますよね。
かと言って本来発生している売上の一部を意図的に隠そうとするとそれは脱税行為になります。脱税行為は重大な違反として税務署に発覚した時のダメージが非常に大きくなります。
ですので売上は減らす事は出来ないのです。
経費は意図的に増減させる事が可能
それに対して経費は自分が使う・使わないでかなりの調整が可能ですよね。
例えば今年はかなり売上が高くて儲かったなと思えば、その分たくさん経費を使えばよい事になります。
税金を安くする際の最大のポイントは、当たり前の事ですが「経費をどれだけ算出できるか」という事になりますね。
経費の範囲について
経費というのは仕入れや事務経費だけでなく、自宅家賃や光熱費・交通費・交際費・家族への給料なども計上する事ができるようになっています。
1つの費用を取ってもその線引きはかなり緩く、幅広い範囲を経費と捉える事ができます。
例:接待交際費
例えば「接待交際費」について、取引先を接待した時にのみ有効と思っている方もいらっしゃるでしょう。でもそうではありません。
実際は仕事に少しでも関係のある人や将来的に役立ちそうな情報を提供してくれそうな人を接待した場合も経費の範囲として計上する事ができます。
他にも例えば、1次会だけでなく2次会や3次会なども接待交際であるならば経費計上が可能です。
納税者自身が経費かどうかを判断
接待交際に該当するものか否かは納税をする本人が判断して良い事になっています。ただし税務署が明らかに仕事に関係ないと判断されたものは認められません。
※税務署が接待交際費ではないと明確な証拠をつかんだ時は認められないです。
レシートをもらう癖をつけよう
フリーランスになったらすべての領収書を取っておくべきです。そしてそれを仕訳帳に記載する際に、経費になるのかどうかをまず考えましょう。
判断を税理士に任せる場合も領収書やレシートはとても重要ですので、必ず取っておくようにしましょう。
生活費を圧迫させずに経費を計上する方法
経費を増やすという事は、それだけお金を使うという事です。実際のお金を使わずに経費を増やす事は出来ません。
経費を増やせば確実にその分自分のお金が減りますよね。
ですのでお金を使い過ぎた結果、それが自身の日々の生活を圧迫するのであればこれは本末転倒という事になります。
バランスを取る
ですのでポイントになるのは、経費として計上ができつつ自分の生活を圧迫しない様にバランスを取る事でしょう。
常識的に考えると、経費として使ったものであれば自分の手元には残らないので、生活費自体が減る事は避けられないと思うかも知れません。
しかし上手くやれば生活費を減らさずに経費を計上ができるのです。
それはズバリ!「生活費自体を経費に計上する事」
・生活費のうち経費にできるものを経費に計上
・生活水準はそのまま、経費が増える分、税金が少なくなる
一定の条件をクリアしておけば、事実上生活費を経費として計上しても良いのです。
ただ、単純に生活費をそのまま経費として計上するのでは当然税務署に認められません。通常は「生活費は事業の経費とは別」が前提であるからです。
ですのでポイントを押さえた経費計上が必要になりますね。
税務署がケチを付けてこない経費計上の仕方
では生活費をどれだけ事業の経費にできるのか。それが節税のキモになる部分でしょう。
先ほども述べたように基本的には「生活費は事業の経費とは別である」事がベースです。その上であえて計上しようとしているのですから、明確に一定の条件を満たす必要があります。
事業の経費として算出できるのは事業に関係する支出
まず事業の経費として算出できるのは「事業に関係する支出」です。
事業に関係していればその額がどんなに高くても(或いは低くても)それは経費になります。
ノートを1冊買った場合
そのノートを仕事で使うのであればそれは経費ですね。それに対しプライベートで使う場合は経費になりません。
飲み会にいった場合
飲みに行っても仕事に関係ない飲み会は経費にできませんが、関係者がいる飲み会は経費にできるのですね。
「どんな支出であっても事業に関連付ける事ができればそれは経費扱いにできる」と覚えておきましょう。
つまり生活費をうまく事業に紐づける事ができれば節税ができる事になりますね。
どんな生活費が紐づけられるか
ここで説明する項目に関する詳細はまた別の記事で述べたいと思いますが、まずは紐づけが可能な生活費をご紹介します。
事業に関連付けが可能な支出項目
・家賃(自宅の賃貸マンション)
・光熱費、電話代
・配偶者や家族への給料
・交際費
・買い物(備品)
・借金の利子
・旅費交通費
・福利厚生(家族以外の従業員に対して)
経費のグレーゾーン
経費かどうかを決定するのがその納税をする個人事業主やフリーランス自身という事ですので、必ずしもその判断が税務署側と一致するかどうかはわかりません。
裁判の判決と同じで同じ法律の下でおこなっていても、裁判員がやっている以上判断が異なることは当然ありますよね。
ただし、あまりに意識をしすぎて「この費用はちょっとグレーな気がする経費だから計上しないでおこう」と自分で判断してしまうのはもったいないと思います。
グレーゾーンは積極的に
フリーランスになると仕事とプライベートの境目はかなり曖昧になりますよね。そうすると多くの支出が仕事に何かしらの形で絡むケースも当然増えてきます。
結局どこまで経費にするのかがグレーゾーンである以上、個人的にはプライベートにまたがる経費でも、事業分とも紐づけできると思える経費は申請するべきだと思います。
もちろん仕事に全く関係ない100%プライベートのものはダメですけど。
ただ経費が売上の50%を超えるような場合は明らかに怪しいと思われるので注意が必要です。
もし経費で認められなかったら
税務調査があった場合に「経費として認められない」と判断されたらどうなるのか不安に思われるかも知れません。
ここについては極論、申告に明らかな嘘がないのであればさほど大きな問題にはなりません。
経費が認められず当初の申告より税金が増えた場合は、延滞税などは確かに掛かりますが、そんなに大きな金額にはなりませんからね。単に後から支払ってくださいねと言われるだけです。
重大な脱税行為をした場合は別
それに対し虚偽の領収書を計上していたり、売上自体をごまかしていたりするとこれは重大な脱税行為です。むしろそっちの可能性を税務署は気にしています。
警察の取り締まりではないので、そこまでいかないのであれば犯罪ではありません。ですのである程度積極的に計上していくべきだと思います。
いかがだったでしょうか
上の方で事業に関連付ける支出項目を紹介しましたが、全て丸ごと経費として計上できる訳ではありません。
では具体的にどのように経費計上をしていくのかについては、別記事にてご紹介したいと思います。
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