
なぜWEBサイトはサーバー引越し・移転がおこなわれるのか?
WEBサイトの移転・引越しとは?
WEBサイトの引越しとは、ホームページのデータをそれまでのサーバーから別のサーバーに移す事を言います。
そもそものお話ですが、WEBサイトは必ず「サーバー」の中に入っています。サーバーとはご自宅やオフィスにある通常のパソコンの事ではありません。
モニター等はついていませんが、24時間常に電源が入っておりパソコンよりも高機能な通信処理機器という感じです。
このサーバーの中にホームページが入っているからこそ、24時間いつでもWEBサイトを見る事ができますし、そして同時に多数の訪問者が来てもスムーズにデータを表示させる事ができるのです。
通常このサーバーは購入するのではなく月額利用料を支払ってレンタルをしています。これがいわゆるレンタルサーバーと呼ばれるものです(以下:サーバーと称します)。
WEBサイトはそのまま、乗せているサーバーを変更するのが引越し
WEBサイトを引越しする場合、現在契約しているサーバーを解約して別のサーバーをレンタル契約する事になります。
引っ越しの際は2つ同時に借りたままにする。
厳密にはまず先に新しいサーバーを契約して新旧2つのサーバーを同時レンタルした状態にします。
データの載せ替えや設定が完了した後に、古いサーバーの契約を解約するのがセオリーです。
引っ越しはよくおこなわれています。
WEBサイトのデータは同じものですから、サーバーが変わった事(引越しした事)は表面上にはわかりません。しかし実はこの引越し作業(移転作業)というのは頻繁に行われます。
それはなぜでしょうか?それにはいろいろな理由がありますのでここでご紹介しましょう。
下記に紹介する理由の中に、今すぐクライアントに引越しの提案をしなければならない重要な課題が見つかるかもしれません。
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レンタルサーバーは劣化します
高機能な通信機器であるサーバーですが、やはり機械である以上ずっと使い続けてくれば徐々にくたびれてきます。その処理速度やパワーに衰えが来るのは当たり前です。
自宅や事務所のパソコンでさえ使っていけばどんどん劣化していきます。そして買い替え時を迎えて新しいパソコンを購入する訳ですから、同じような事がサーバーでも起こるという事になります。
通信速度や処理能力が落ちてくる
つまりある程度年月が経過したサーバーはどうしてもホームページを表示する速度が低下したり、同時多数通信時に十分なパフォーマンスを発揮できなかったりするのです。
ですのでサーバーを利用して数年が経過したら、通信速度が落ちていないかどうかを確認して、必要であれば別サーバーに引越しをする事を検討する必要があります。
常に高性能である事を求められる
WEBサイトを表示するサーバーを提供する会社はたくさん存在し、それぞれが提供するサーバーにも実に様々なタイプや性能があります。
昔は提供されているサーバーにはそれぞれ「性能差」がありました。
しかし今現在提供されているサーバーは、その性能(スペック)にそれほど大きな差はなくなってきている様に思われます。
それだけ各社それぞれが、ホームページを運営する上で利用者がよく利用する機能・サービスを一般提供できる様に性能UPの努力をされています。
契約サーバー自体が高性能になる場合と、別に用意される場合
そこでポイントとなるのは、現在利用しているサーバーがその契約自体はそのまま、中身だけどんどん高性能になっていく場合と、そうではない場合とがある事です。
自分が契約しているサーバープランがどんどん性能が上がって来れば何もする必要がないので問題はありません。
しかし高性能なサーバーが今のサーバーとは別のプランとして新設された場合は「高性能サーバーを利用されたい場合は引越しをして下さい」という案内が来ます。
ですのでそこで新設のプランに移転をするか検討をおこなう事になります。
一番良い例がSSL(https通信)です。
SSLを利用する際、それまでは月額利用料が発生していましたが、少し前にインターネット業界全体に「WEBサイトはSSL化が必須」という風潮が流れました。
SSL化していないサイトは検索順位にも影響してくるというアナウンスがGoogleからあったためですね。
それを受けてレンタルサーバー会社側も、SSL維持が無料で利用できる「Let's Encript」と呼ばれるサービスを導入するようになります。
そうしなければ今までの様にSSLに月額利用料が必要なサーバーは使ってもらえなくなるためです。
今の契約のまま無料SSLが使えた会社と、今の契約では使えない会社
こういった時代の流れに沿って要望される新しいサービス・性能を常に追っかけていく事もレンタルサーバー側の仕事です。
この場合SSLが無料で利用できるように利用中のサーバー性能が自動的に上がった会社と、既存のサーバー性能は変わらず、別途無料SSLが利用できる新しいサーバーを用意した会社とがあります。
自分の利用しているサーバーが仮に後者だった場合は、残念ですが新しい無料SSLが利用できるサーバーへ移る事を検討しなければなりませんね。
より料金の安いサーバーへ切り替える
先述の様にサーバーの性能はどこも同じようなスペックのものを用意していますが、それでも価格帯には多少ばらつきがあります。
同じ性能・機能を持っているのであればより安いところへ移る事を検討するのは当然の事ですよね。
実はまだまだ契約料金の高いサーバーを借りている所があります。
ホームページによってはまだまだ月額維持費が高いサーバーをレンタルしているところがあります。
高性能であり、かつセキュリティやバックアップ機能なども活用しているため、それだけの費用が掛かっているのかも知れません。
しかし、もし同じ性能を持っている月額料金の安いサーバーが見つかった場合、維持費コストを抑えるために移転を検討することはよくある話ですよね。
後からの利用客が同じサーバー契約内に入ってくる
最初は快適だったWEBサイトが、借りてそれ程間もないのに突然表示されるのが遅くなるケースもあります。
あとから契約された別のWEBサイトが自分たちと同じレンタルサーバー機器の中に格納され、それが増えてくると徐々に圧迫し、通信・パフォーマンスに影響が出る事があるのです。
極端な例ですが、最初は自分一人しか入居していなかったマンションに後から多くの人が契約・入居してくる事で、やがて騒音や隣人トラブル等が発生して住みにくくなるのと一緒です。
サーバー会社側も入居率を上げたい
サーバーは一戸建てではありません。たくさんの入居者が入れるよう集合マンションになっています。
サーバー会社側は基本的にサーバーの入居率を上げたいはずですよね、商売ですから。ですので後からWEBサイトが入居して来るのをこちら側が防ぐ事は出来ません。
あまりぎゅうぎゅう詰めにならないようにサーバー会社側も入居率をある程度絞ったり、その圧迫をしているWEBサイトに対して制限を掛けるなどの調整はされています。
そういった状況を見て、引越しをするか我慢するかは入居している当事者次第です。もちろん仮に引越しをした先のサーバーでも同じような事が起こる可能性はあります。
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引っ越しはDNSサーバーが知らせる
上記の様にいろいろな理由でサーバーの引越しがおこなわれています。
WEBサイトを引っ越しするといっても、使っているサーバーが変わるだけで屋号となるドメイン名(本サイトであればlpeg.info)は変わりません。
つまりlpeg.info というドメイン名で表示させていた読込先は、今までは「Aというサーバー」の中でしたが「これからはBというサーバーに変更されます!」と、全世界的に変更命令を掛ける事になります。
DNSサーバーによってWEBサイトのサーバー位置が管理されている
このようにドメイン名に対して位置ルールを設定・制御を掛けているのが「DNSサーバー」と呼ばれるものです。
DNSサーバーとはドメイン名と読込先サーバーの紐づけをしているサーバーです。
このDNSサーバーの中に「lpeg.infoはAサーバー」という表記がされているため、国内・海外どの地域でlpeg.infoのサイトを見ても、ちゃんとAサーバーのデータが見えるようになっています。
これが引越しによって「Bサーバー」に明記変更がされれば、世界全体でそうなります。
ネームサーバーの変更と呼ばれるものです
インターネットにおける統一ルールとして、地球上のどこであっても「ドメイン名で読込されるサーバー先は1か所のみ」です。決して2か所になったりはしません。
このDNSサーバーの明記を変更する事を一般的に「ネームサーバーの変更」と言います。逆に言えばこのネームサーバーの変更をしないとサーバーは引越しがされない事になります。
ですのでサーバーの引越し作業の一番最後にこのネームサーバーの変更をおこないます。
プロパゲ―ションについて
上記のネームサーバーの変更は統一ルールですので全世界に浸透される必要がありますが、読込先をAサーバーからBサーバーにしたからと言って、それがすぐに世界全体に反映される訳ではありません。
世界全体にはDNSサーバーがいくつも存在しており、その全てのDNSサーバーにおいて情報が書き換わる必要があります。
その世界全体に変更が行きわたるまでに最短1日~最長3日程の時間が掛かる事をプロパゲ―ションと言います。
ですのでネームサーバーを変更してから、それが全世界に反映されるまでにしばらく時間が掛かる事を想定しておく必要があります。