
WEBサイトはWIXサーバー、メールは別サーバー移転のケース
WIXサーバーはWEBページを作る機能に特化しており、ドメインメールはアカウント単位で有料です。
ドメインメールを使っているWEBサイトを移転させる時はWIXサーバーは使わない方が得策でしょう。
WIXサーバーは推奨していませんが、WEBのみWIXサーバーでメールは別サーバーを向ける事は一応可能です。
WEBサイトはWIXサーバー、メールは別サーバーの引っ越しのケース
今回はジャストシステム様の移転元サーバーからWEBデータはWIXサービスへ、メールはエックスサーバーへ移転をさせるクライアント案件の詳細を残します。
引っ越しのポイント
・WIXで独自ドメインを利用する場合はプレミアムプランへの変更が必要
・WIXサーバーでドメインメールを利用する場合は有料になる
・メールアカウント数だけ購入しなければならない
・WEBのみWIXサーバー、メールは別サーバーという状態をWIXは推奨していない
・ドメインメールを利用する事が前提の場合はWIXへ引っ越しをしない方が良い
登場人物紹介
・クライアント…WEBサイト所有者
・業者…WEBサイトリニューアルを担当した会社(私へ依頼をした人)
・わたし…移転作業をする人
今回の引っ越し依頼の経緯
とある業者から依頼があり、WEBサイトを引越ししたいとの事でした。
その業者が担当する「別クライアントのWEBサイト」がジャストシステム様のサーバーで運営されており、引越しと同時にリニューアルされる予定です。
既に「WIXサービス」でリニューアルサイトが作成されていました。
WIXへデータを移転するのではなくドメインのDNSを変更するだけなので、ドメイン管理を移管すればよいと思っていました。
WIXはドメインメールが有料
ここで早々に一つ新しい事実が発覚します。
移転元のWEBサイトドメインで「ドメインメール」を20件程度利用されている事です。
WIXサービスで独自ドメインのドメインメールを利用する場合、「G-Suite」と呼ばれるメールサービスを利用する必要があります。
これは有料であるため、メールを利用するアカウント数分だけ利用料が発生します。
アカウントが多ければ多いほど利用料が膨らむ訳ですね。
WIXはWEBページ作成に特化したサービス
WIXは管理画面からWEBページを自在に作れる機能が「売り」のサービスです。
メールサービスが充実している訳ではありません。
他の一般的なホスティングサービスのプランであればWordpressは導入できますし、メールの利用に別途料金は掛かりませんよね。
※まあWIXのようにWEBページ自在に作る機能はありませんが。
業者の想定不足
WIXでWEBページをリニューアルする事に目が行き過ぎてしまい、メールの事に気が付かなかったという事でしょう。
20件ものドメインメールを利用するのであればWIXを選択するべきではないですね。
もしかしたら今回の業者は、WIXでWEBページを作るしかサービス提供方法がなかったのかも知れません。
以前さらに別のクライアントでWIXで作ったWEBサイトを納品した事があったらしく、今回も同じ程度に考えていたようです。
サーバー移転の流れの決定
今回の移転元となっているジャストシステム様は引っ越し関係の担当をしないため、今回こちらに声が掛かった形です。
ジャストシステム様との契約解除を意味するから当然ですよね。
お問い合わせを受けた段階と違い、ドメインメールを利用していたりWIXのメールは有料であるなど、あとから次々と事実が判明する状況です。
これらの情報を吸い上げた結果、次のような流れをとる事になります。
引っ越しフロー
・ジャストシステムの提供している管理画面へのログイン情報を取得
・WEBデータのダウンロード
・WIXサイトではない別サーバーを契約
・別サーバーでドメイン設定・メールアカウント設定
・WEBデータアップロード(念のため)
・新サーバー向けメールアカウント20件をクライアントに登録設定してもらう
・ドメイン管理をジャストシステム様から移管
・一旦別サーバーにWEBとメールの両方をセットで移転させる
・ジャストシステム様解約
・WEB部分のみWIXサーバーに向くようドメインのDNSエントリを変更
各工程における対応の詳細
移転元サーバーの管理画面
ジャストシステム様の管理画面ではWEBデータをダウンロードできるFTP機能のほか、ドメインのオースコード情報も確認ができるようになっています。
さらにはDNSレコードも変更できるようになっていました。
この管理画面のログイン情報の提供を受け、内容が確認できたことは大きかったと思います。
WEBデータについて
今のWEBデータは結果として全く使う事は無い訳です。
最終的にはWIXにあるWEBデータにリニューアルされるからですね。
しかし今回はジャストシステム様を離れたあと別サーバーで必要なためダウンロードをします。
メールを使う別サーバー先
今回別のサーバー先として「エックスサーバー」を選びました。
メールだけなら他のサーバーがあったかも知れませんが、普段よく使っている経験から選んでいました。
最後にはWEBデータはWIXを使う訳ですから、エックスサーバーはメールだけを利用する事にはなります。
しかし、タイミング的にWEBもメールもジャストシステム様を一度離れなければならない事が後からわかるので、メールだけのサーバーを選ばずに良かったです。
エックスサーバーのドメイン所有者認証
エックスサーバーを直接契約頂き、ドメインの設定そしてメールアカウントの登録を済ませます。
エックスサーバーで移転前にメールアカウントを事前登録する時は、所有者確認をする必要があります。
本当にそのドメインを利用している本人かどうかを認証する訳です。
メール認証を選択
今回はadminかwebmasterのメールに認証コードを送る手段を取りました。
移転元のジャストシステム様管理画面内で、WEBメールとしてadminのメール内容を確認できる様になっていたためです。
依頼業者やクライアントとやり取りする事無く受信できるのは良かったです。
ここは通常であればadminに来たメール転送してもらわなければならなかったりと、時間が掛かる所ですからね。
メールアカウントは20件全て一括登録をしました。
WEBデータもアップロード
WEBデータもそのままの状態でアップロードしておきます。
hostsファイル等できちんと構成されているかどうかは確認済みです。
クライアントに新しいサーバー向けのアカウントを登録してもらう
クライアントに今のメール設定とは別にエックスサーバー向けのメール設定情報を入れてもらいます。
※OutlookやThunderbirdなどメールソフトはまちまちだったようです。
メールは切替後も必要な作業がある
新サーバー向けのアカウント追加登録はあくまで取りこぼし防止のためです。
新旧どちらのサーバーに来ても受信できる様にするためですね。
サーバーが切り替わった後は、従来のメール履歴が残っているアカウントの設定情報を新しいサーバー向けに書き換えてもらう必要があります。
そのまま2つ登録してても仕方がないですしね。
サーバーが2段階移転になった理由
ジャストシステム様の担当者の話
ジャストシステム様が言うには、「ドメインのネームサーバーをWIXに向ける事はできない」という事でした。
管理画面をよく見るとDNSレコードを変更する画面がありますが、ネームサーバーを入れる欄はありません。
DNSレコードを切り替える形でも行けそうな気がしましたが指示に従います。
私から見れば業者やクライアント・ジャストシステムの関係が入り組んだ中での作業ですので、あまり強引な事はしない方が得策です。
ドメイン管理の移管
今回の対象ドメインの管理をいったんこちらで譲り受けます。
ドメインの管理を移せばDNS情報の変更は自由だからですね。
ただドメインの管理を移すと、ジャストシステム様とはすぐ契約解除という運びになるそうです。
この制約のため一旦WEBもメールもエックスサーバーへ移し、その後にWEBだけWIXへ向ける2段階方式を取ります。
一旦WEBとメールを全てエックスサーバーへ移転
引っ越し準備が整ってドメイン移管が終了した後に、エックスサーバーへWEBサイトとメールの両方を引っ越しします。
エックスサーバーへ移転をした時点ではWEBデータはリニューアルされません。元のままですね。
本来はWIXにあるリニューアルされたWEBデータが映るのが最終目標です。
しかしジャストシステム様との解約が迫っているので、一旦エックスサーバーへ移転します。
DNSエントリを変更、WEBデータをWIXサーバーへ
エックスサーバーへ移ってメールなどにも問題がない事がわかった後に、あらためてDNSレコードを変更します。
現在は全てエックスサーバーのネームサーバー情報になっています。
そのうち、WEBデータ部分はWIXサーバーへ飛ぶようにAレコードなどを変更します。
メールはそのままエックスサーバーを利用しますので、レコード変更後もきちんと稼働しているかどうか確認をします。
ジャストシステム様の仕様がポイント
・ジャストシステム様の管理画面ではDNSレコードの変更はできるがネームサーバーは変更できない
・ネームサーバーを切り替えるにはドメイン移管が必要
・移管をしたらジャストシステム様とは解約
WIXはポインティングを推奨していない
これも後からわかった事なのですが、重要な情報です。
WIXのマニュアルによると、WEBデータはWIXサーバー、メールは外部サーバーという「ポインティング方式」を基本は推奨していないそうです。
WIX側のメンテナンスなどでIPアドレスが変わったりするとつながらなくなったりする場合がある等の説明がありました。
今回は強引に選択します。
ですが今回は先に「WIXによるリニューアルWEBデータを見せる事ありき」で話が進んでいます。
かと言って20件のメールアカウントを全てWIX内(G-Suite)で利用するのは費用が掛かりますよね。
エックスサーバーももちろん月々のレンタル料は発生しますが、WIXで利用するよりは安く済むためこのような措置を取っているのです。
こればっかりは仕方ありませんよね。ですのでポインティング方式でいきます。
今回は大変な案件です。
実はまだ最後の工程(WIXサーバーへAレコードを向ける)までは進んでいません。
途中の段階でこの記事を書いています。
この様な流れで無事進んで欲しいなという願望も含んでいます。
移転の日程は不確定な場合がほとんど
ここまでで一番気になるのは、依頼をしてきた業者が非常に「楽観的」な人物である事ですね。
ドメインメールの事を考慮せずにWIXでリニューアルデータを作ってしまっているところからもある程度うかがえます。
そしていつも気にしているのは「いつ頃移転が終わるのかその日程」の件ばかりです。
上司に報告しなければならないための様です。悲しい話ですよね。
クライアントのメール設定作業やジャストシステム様の移管への対応など、日にちが読めないところも多いのに正確に測れる訳がありません。
移転作業よりもナビゲート作業の方が大変
業者の話す内容は最初から何となくぼやーっとしており、メールの事は全く話に挙がりませんでした。
メールを使っている事がわかったものの、調べてみるとWIXのメールは有料。え?じゃあどうすんの?クライアントにメールを有料で使わせるの?
「本人があまり理解していない」事がわかった後は、とにかく根掘り葉掘り聞いて、その業者より正確に詳細に状況を掴まなければなりません。
取るべき段取り・手段とその理由、そして所要日数などを全てメールで説明しなければならないのですね。
感謝してくれるかはわかりませんが頑張ります。
ここまで業者にどれだけ長文メールを書いてることか。
ですので全然費用に見合う仕事ではなくなっています。
辛抱ですね…とにかく無事に済むように頑張ります。