クライアントエピソード5:紹介を受けるという事
フリーランス体験談5:鉄則
鉄則:片方の情報はもう片方に絶対に漏らさない事。これがこのエピソードの主旨です。
これは当たり前の事ですが非常に重要ですね。私は以前これで一度手痛い失敗をしたので、戒めの為にここでその状況をまとめておきたいと思います。
紹介によるクライアントは良質なお客様
15年もフリーランスで仕事をしていると、お客様を紹介してもらう事も多々あります。
やはり「紹介」ですのであらゆる手順をショートカットでき、紹介されたクライアントは私の事をはじめから信頼しておられます(ある程度です)。ですのでいろいろな事がスムーズに進みますね。
人から人の紹介の場合は、その紹介されたクライアント(紹介先)はもちろん、紹介をした(紹介元)クライアントの両方に対して失礼のない対応をしていく必要があります。
「複数業者一括見積サービス」企業からの紹介
大多数が私の公式WEBサイトからのお問い合わせ
人からの紹介だけでご飯を食べていければそれはそれで理想なのですが、現実問題そんなに紹介が途切れずに続く事はあり得ませんよね。
ですので自らの営業も必要なのですが、何分フリーランスで。1件1件会社をまわってWEBサイト制作の営業を掛けたりする事はできません(自慢ではありませんが今までした事はありません)。
今までのお客様はその大多数が私の公式WEBサイトからのお問い合わせです。その集客の窓口自体は今でも変わりません。
紹介サービスとの併用
ですが公式サイトからの集客も紹介同様、安定してずっと続く訳ではないので、WEBサイトを作りたいと希望されるお客様に「複数の制作業者を紹介するサービス」を展開する会社と契約をしました。
複数のサイト制作業者から一括見積をもらえますのでその中からマッチするところを選んでくださいね、というサービスです。
それからはそのサービス会社を通してお客様候補を紹介してもらう事も出てきました。
その中で先日、こサービス会社からの紹介で、とあるお客様に見積もりを提出させて頂きました。
クライアントとの初面談
そのクライアントから一度顔合わせをしたいと連絡を受けました。
指定されたファミリーレストランに向かったところクライアントは連れの方と2人で来られていました。
当然いろいろ聞かれます。制作の詳細や流れ、それから別の事を頼んだ場合の料金などもろもろです。
同じように見積もりを出している他業者と比べてどうなのか?という「比較」の色合いの面談ではなく、私自身の「品定め」という感じが強い面談でしたね。
ある程度説明が進んで雰囲気も和んできたころにそのクライアントからこう言われました。
「あなたの噂を他で聞いたんですよ。」
寝耳に水でした。なんでもシステムエンジニアの知り合いがいるそうでその方に私の事を話したら、「あの業者良いよね。」と言われたそうなんです。
誰だよw
システムエンジニアの知り合いなんか私が思いつく限りではいないので、その方がどなたなのかがすごく気になりましたが、褒められている事には変わりないので深くは探らずにいましたね。
ともかくもそのエンジニアの方の一言が決め手だったみたいで、そのクライアントWEBサイト制作のご用命をもらえる事になったのです。ありがとう、エンジニアさん。
クライアントからの別の方を紹介いただく
そのクライアントのWEBサイトを制作している間に程なくして、なんと知り合いのお客様を紹介してもらえる事になりました。この時は本当に嬉しかったですね。
このように人のつながりが続いていく事はとても素晴らしい事ですし、とても光栄に思いました。
つまりほぼ同じ時期に2人のクライアントのサイト制作を担当する事になったので、同時に身が引き締まる思いもありました。
知り合い同士のクライアントの案件を同時に請け負う事
AとBとがやり取りし合う状態
ここで一つ懸念した事があります。時期はほぼ一緒なのですが若干先にレストランで面談をしたクライアント(以後クライアントAと呼びます)のサイト制作が進んでおりました。
そのサイトがどのような感じのものなのか、クライアントAから紹介されたクライアント(以後クライアントBと呼びます)は知っている様です。クライアントAが見せたんでしょうね。
両者の見積もり金額はかなり違うので(クライアントBの方が安い)、金額的にAの様なサイトのテイストにはならないのですが、あんな感じのデザインが良いという様な要望を持たれているようでした。
ただ金額に差がある以上、同じように作る訳にはいきません。
このクライアントAとBとがお互いの条件やサイトを確認し合っている状態が非常にやりにくいです。
両方紹介なのであまり強くは出られない
制作金額・業種がそれぞれ違うので、2つが同じようにはならない(制作サイトの質に差がつく)事は理解されているはずですが、それをあからさまに伝えて気を悪くしてはいけません。
ですので、それとなくやんわり伝えて納得をしてもらうしかないのですね。
クライアントAもB側の作っているサイトを見せてもらっているでしょうし、そのサイトに対してどのような意見を言うのか予想はつきません。気にしてはいけない部分だとは思うのですが、難しいところだと思いました。
クライアントAとのやり取り
話し手と打ち手とが別人のよう
クライアントAは本人自体はインターネットやWEBサイトには非常に疎く、メールで文面を打つこと自体もなかなか難しい方の様でした。ですので私に指示を出す時はまた別の「お仲間の方」に代行でメールを打ってもらっていました。
何度か面談で打ち合わせをしたのですが、その時のクライアントAのサイト制作に関する会話は初心者そのものでした。でもメールで指示される内容は、ある程度の「経験者」が制作サイト修正を指示する時の言い回しなのです。
内容の差に困惑する
当然メールは別の方が打っているので仕方ないとは思うのですが、「これは絶対本人が言った内容ではないだろう」と思われる様な指示も出てくるので少し困惑していました。
その内容について確認をするためクライアントA本人に聞いても、そのレベルの思う様な返事が返ってこないのです。
なのでサイト制作が良い方向へ向かっているのか、A本人の要望が本当に反映されているのか、その実感が沸かないまま制作が進んでいましたね。
クライアントBとのやりとり
大失敗
その後クライアントBとの詳細打ち合わせで面談をした際に、クライアントAの制作状況の話になりました。
一応順調に進んではいるのですが、やはりネックとなっているのが上記でお話した「A本人の意思とメールの打ち手の意思の違い」の部分です。
この事はBは前もって知っているはずなので、それとなくこの話題をBにしてしまいました。これが失敗でしたね。
人から人へ伝わる事の怖さ
クライアントA 制作キャンセル
クライアントBはその面談の場では、「今作っているテストデータが全てだと思うので、気にせず進めていいのではないか」「要望と違うのであればはっきりそう言ってくるだろうし」。とフォローしてくれていました。
ところがその面談から間もない内に、クライアントAから突然「制作を中止したい」という連絡がきたのです。
やってしまった!と思いました。
私がジレンマを持っている話がBからAに伝わったんだと瞬時に思いましたね。
Aが言うには、「自分の思うイメージを指示として表現できない、限界を感じている」という旨でした。ここは本音なのだろうと思いますが、やはり私の話が気になっているのだろうと察しました。
さらに「いままで前金以外に発生している費用は清算します」ともおっしゃっていました。
その時点では完成こそしていないもののほとんど作り上げていたので、正直に相応の金額を提示したところ、きちんとお支払いをして頂きました。
後悔をしています
費用としてはある程度もらえたものの、この件は非常に後悔をしました。言わなければよかった、そこだけ悔やまれます。
ああいう話って千里を走るもので、どんどん伝わっていくんですよね(しかも若干姿形を変えながらです)。話し手に悪気が無くても言われた方が気分は良くないはずです。クライアントAとしては自身のウィークポイントとして気にされていたはずなので。
まさに千里を走られた感じです。
クライアントBに対しても決して愚痴のように言った訳ではありません。あくまで「ネタ」的なテイストで話をしたつもりだったんですが…。Bからどのように伝わったかわかりませんよね。反省すべきは我にありです。
「クライアントが知り合い同士の場合、どんな些細な事でも片方の情報はもう片方に自分から絶対に漏らさない事」鉄則です。
ここまで書きながら自分も苦い思い出として思い返しています。改めて反省しています。
その結果:教訓になりました
クライアントBも制作キャンセル
実はその後クライアントBのサイト制作も中止になっています。
「掲載する文章が思いつかない」「サイト制作って難しい」などと話されていましたが、何かあったのかも知れないしなかったかも知れません。
2つともキャンセルになったという事実は重い
でも結果的にサイト制作案件は2つとも中止になっています。これが全てですよね。全て私に責任があると思っています。
クライアントBのサイトはほとんど進まなかったので清算費用はもらえませんでしたが、それ以上の経験・勉強させて頂いたと思っています。
契約は?
本記事で紹介したクライアントA・Bについては、特に契約書による取り決めはしておりませんでした。今回は特例であり、もちろん基本的には契約を交わします。
その契約書の中で途中キャンセル時の対処なども明記させてもらっております。
紹介された事に最後まで責任を持つ
「紹介を頂くこと」は、相手が私自身を信用しているからこそ起こりうる賜物です。だからこそ、それと同時にその信用に値するだけのサービスを展開しなければなりません。
紹介元と紹介先にダブルの責任を持つ必要があります。これからは心して、紹介を受けたいものですね。