
クライアントエピソード12:リテラシーの低いお客様にどう対処するか
リテラシーが低いお客様はWEBサイトの良し悪しがわからないので、指摘に弱い傾向があります。
トラブルが起きた原因が何かとWEBサイトつまり「制作サイド」のせいにされがちです。
その場は謝る事、そして平常時にリテラシーレベルの確認および説明をしておくべきです。
他社からの指摘でリニューアル
最近起きたクライアントとの「苦い」やり取りをご紹介します。
長年担当させて頂いているお客様で、最近ここのWEBサイトを全面リニューアルしました。
長年の付き合いがありますが、ネットに関するリテラシーがあまり向上しないお客様です。
リニューアルのコンセプト
今回のWEBサイトリニューアルには、明確なコンセプトがありました。
それはデザイン性が高くカッコいいWEBサイトへのリニューアルです。
別のWEB制作会社がこのクライアントに営業を掛け、「今のWEBサイトは良くないです」と話した事が発端です。
とにかくいろいろ指摘をされたみたいですね。
社長に呼び出され責められる
これをうけて社長は「今のWEBサイトは全然なってない!」とご立腹で私を責め立ててきました。
この時は正直私もかなり頭に来ましたが、とにかく謝ってリニューアルする事を提案します。
指摘されない様に、ゴージャスなデザインのWEBサイトにリニューアルしてしまおうとなった訳です。
納得がいかない点
リニューアル制作は売上につながる良い事なのですが、納得いかない事もあります。
制作会社が難癖つけるのは当たり前
まず同業他社が営業掛けてくるのは当たり前、そしてWEBサイトの課題を調べてアピールするのは当然です。
WEBサイトの管理担当先を切り替えて欲しい訳ですからね。
確かにいろいろな事情もあり、今のWEBサイトが完璧ではなかった事は事実です。
WEBサイトに指摘される様な隙があった
月々の保守範囲で行っている事もあり、手が届いていない部分があった事もきちんと認めます。
前からとりあえず保留状態にしていあた部分がサイト上にたくさんありました。
しかしそのWEBサイトの状態にOKを出していたのは「社長自身」です。
制作会社にいろいろ指摘されたからと言って、100%私を責めるのはちょっと…と思います。
WEBサイトの責任は誰にあるか
思うのは「社長の責任・主体性はないのか?」という事です。
課題点を放置していた責任はもちろん私にもありますが、社長にもある訳です。
いざという時に「全てお前に任せているから、その責任はお前にある」では困ります。
まあそう反論できないのが「お客様と業者の関係」ですけども。
制作会社は今後も指摘してくる
ではデザイン性の高いWEBサイトが完成して、それに社長も納得してくれたとしましょう。
でも制作会社はまた営業を掛けてきます。
その時にそのWEBサイトに対しても、制作会社は必ず「粗」を見つけて指摘してくるのです。
その時また「お前が悪い」と私を責めるのか?という事ですよね。
良し悪しはユーザーが決める事
社長がWEBサイトの「良しあし」がよくわからない事は重々承知しています。
指摘されると不安になる気持ちもわかります。
しかし本来、WEBサイトの価値を決めるのは「制作会社」ではなく閲覧するユーザーです。
ユーザーのお問い合わせやTEL等のアクションにより、そのWEBサイトの効果や良い仕事をしているかが決まるのです。
WEBサイトにもう少し愛着を
確かに今コロナ過の影響もあり、WEBコンバージョンの面では芳しくない状態が続いています。
これはしばらくは仕方ありません。今は辛抱しなければならない時期です。
自分が一旦「よし」としたWEBサイトな訳ですから、愛着を持って欲しいと思います。
例え売上につながらない状態が続いても、WEBサイトを愛でてやる・信じる事も必要だと思います。
WEBサイトは24時間365日、自分の代わりにネット上で仕事をしてくれる「仲間」ですからね。
リニューアル後の問題
ようやくWEBサイトの全面リニューアルが一通り完成する所までこぎつけました。
ゴージャスな雰囲気に力を入れていますので、TOPページにもアニメーション演出を入れています。
あくまで予算内でですが、品のあるものができたと自分も思いました。
ところがこれを確認した社長が「表示が遅い」「表示されない」と言って怒り出します。
表示が遅い
完成後すぐに知人にページを見てもらった様で、「表示が遅い」と指摘があったようです。
確かにTOPページはデザイン性を重視した分、初回の表示速度は遅かったかも知れません。
とにかく謝りましたが、「仕事が雑」と厳しい言葉が飛んできます。
表示されない
さらに事務所内では、読込状態が続いて開かないページもあると言い出しました。
もちろんリニューアル中は随時テストページを担当社員に確認してもらいながら進めていました。
本番環境とテスト環境は同じサーバーです。
テストページを確認している時に何故言われなかったのか?と疑問が募ります。
制作中、担当からは「遅い」とか「映らない」などの指摘はありませんでしたからね。
IE11を利用していた
ここで確認したところ、何とIE11のブラウザを利用している事がわかりました。
よくよく聞いてみると、「最初はページを開いても映らないが、F5を押すと表示されたので必ず毎回押していた」との事。
「同じページを開いてF5を押す事に違和感はなく、テストページだからそういうものだと思っていた」というのです。
なかなかなレベルですが、私が事前に把握していなかったことも原因の一つですよね。
環境のせい?WEBのせい?
まず表示されない件について対処を試みます。
稼働システムなど環境的な縛りがある訳ではない様ですが、事務所PCは全てIE11の様です。
PCの処理も遅い
さらにOSもまだWin7でPC自体が古く、処理自体が遅い事も判明しました。
PC保守担当ではないので私もよくわかりません。
このクライアント環境では、いくらデザイン性の高いWEBサイトであっても最大限には活かせません。
ブラウザがIE11、かつPCが古い事が影響していても、これを全てWEB側のせいにされる訳です。
主流ブラウザやスマホでは問題なし
もちろんGoogle Chromeや新Edgeに変えればきちんと表示されます。
実際スマホで、サイトがきちんと映っている事は社長も知っています。
ここは通常「ブラウザやPCが古いから」と説明をする機会なのでしょう。
しかしいま社長は怒っていますから、状況的にそのタイミングではないのです。
ユーザー側にアクションを求めるのはおかしい
社長は、WEBサイトに合わせて自分たちの環境を変える事に違和感を感じている様です。
ユーザーに任意アクションを求めるのは「サイト制作側に問題があるのでは?」というのが言い分です。
これもやはり、今すぐに解決できる問題ではありません。
ユーザーにF5を押させる事
一番の例がWEBサイトの更新ですね。
画像などを差替えした時に、きちんとアップしているにもかかわらず画像が反映されない事があります。
その場合は「F5を押して下さい」という提案をよくする訳です。
じゃあ毎回ユーザーにF5を押してもらわないと更新されないのか?と思いますよね。
確かにそう捉えられがちですが、厳密にはそうではありません。
F5の更新は緊急確認のため
時間が経てば一般ユーザーも切り替え後の画像を自動的に見る事ができます。
もちろん緊急の場合は、画像URLを変えるなどの対応も取れます。契約仕様によってそれが基本の場合もありますし、そうしない場合もあります。
F5を押してもらうのは、すぐに確認をしたい「WEBサイトの運営関係者側」の措置の一つです。
ただ何度もF5を押してくれと言うと、「ユーザーはそんなにF5を押したりはしない」という疑問が出る訳ですね。
きちんと説明をしなければならない部分ですが、これはトラブルが起きていない時にするべき事なのです。
WEBサイトを修正して何とか解決
間を置かずに再度このクライアントを訪問します。
前回は謝罪だけに留めて、次回仕切り直しする事がコツです。
表示されないトラブルを解決する
訪問時に、IE11の件について書面を出しました。
IE11のシェアに関するデータ
・ブラウザ進化が進み、Windowsユーザーは大部分がEdgeに切り替えている事
・IE11のシェアは日本国内で5%以下である事
この様にデータで証明していくしかないですね。
しかしだからと言ってすぐにブラウザを全て新しいものに変える事はしません。
IE11に慣れているでしょうし、変えるとなればブックマークなどの移設も必要ですからね。
もちろんPC自体の入れ替えなどは「もってのほか」でしょう。
ですので今回はこちら側が歩み寄り、IE11で動く様にWEBサイトを修正する事になりました。
IE11向け修正は楽だった
幸い今回は、リニューアル設計時に各種ブラウザ対応も取ってあります。
結果的に最初に表示されるローディング画面を削除するだけで、IE11でも映る様になりました。
旧ブラウザ対応を入れてて本当に良かったと思います。
表示が遅い件は自動的に解消
表示の遅さに関しては、確認をお願いした知人が「早く映る様になった」と言ってきたらしいです。
これを社長は、「私が表示速度が速くなるよう修正をしたから」と思っている様です。
実際には私は何もしていません。
2度目以降はキャッシュで表示が早くなっただけなのでは?と思いますが、もちろん黙っています。
万全の事前準備で回避できる
お客様は第三者から指摘をされると、その善し悪しがわからないので不安になるものです。
さらにリテラシーが低いと、いろいろな事をこちらのせいにされる可能性があります。
クライアント側のせいになりやすい部分を説明するのは、何かが起きた時ではありません。
トラブル時ではなく、平常時に説明・対応しておくべきですね。
端末や表示速度についても、事前に説明および確認をしておけばある程度避けられるケースだったはずです。
事前準備不足だったと反省して、この経験を次に活かしていきたいと思います。