クライアントエピソード13:引退・事業継承をする日が必ず来る
仕事を引退したく、サイト保守の事業を他の人に渡したいというお話がありました。
人間ですから年齢を重ねれば、ミスが多くなるのは仕方ありません。
淋しい事ですが私にも必ず引退する日がやってきます。その日までは元気に頑張りたいものです。
別業者から受けたサイト移転案件
2021年の11月頃、とある業者から問い合わせがありました。
現在提携しているサーバー管理会社が廃業するとの事で、担当中のWEBサイトを全て(4件)別サーバーに移転させたいというお話です。
依頼はサイトを管理する同業者から
弊職に問い合わせをした業者は、4件のクライアントサイトの管理を担当しておられます。
この4つのWEBサイトサーバー先が、今回廃業に伴いサービス停止する訳です。
別のサーバーに移す際のお手伝いをして欲しいというのが今回の主旨ですね。
4件のWEBサイトのうち一つは、業者自身が所有するWEBサイトです。
登場人物
これ以降出てくる対象人物を明確にするため、人物名称をまとめておきます。
私…lpeg自身、今回のサーバー移転をサポート
業者…lpegに依頼してきた65歳のサイト管理担当者
サーバー会社…年内で廃業するため、WEBサーバーサービスを停止
クライアント…業者が担当するお客様(WEBサイトの運営者)
依頼された経緯
問い合わせをした業者はサーバー移転サポートをお願いしに来た訳ですが、目的はそれだけではありませんでした。
本人自身が65歳という事もあり、そろそろこの管理業務を引退したい意向がある様です。
ですのでクライアントのサイト管理を別の人に渡したいと思っている訳ですね。
ですので、移転サポートを通して本当にきちんとやってくれるかどうかを品定めしようとしています。
それをひしひしと感じます。
管理を任せてもらえる可能性が高い訳ですから、いつも以上に丁寧に応対しなければなりません。
移転作業の概略
サーバー契約は4件別々
今回は4件のWEBサーバー先を個別にレンタル契約します。
本来ならば1件だけレンタル契約し、その契約内に4つの独自ドメインサイトを運営する方がコスパが良いですよね。
しかし今回はそれぞれ別々です。
クライアント自身がサーバー契約
それはWEBサーバーのレンタル契約を、これまでクライアントに直接してもらっていたためです。
業者が窓口として間に入らず、クライアントが直接費用を支払いされている訳ですね。
※このあたりがいかにも昔ながらの契約形態です。
契約レクチャー
新しいサーバーもクライアントに直接契約頂く訳ですから、契約手順を案内する事も一つの仕事です。
ですので私がその業者に契約の仕方を教え、それと同じようにクライアントに契約してもらう事になります。
1件は業者自身の所有サイトなので、そのサイトの契約を練習対象にします。
ドメイン移管
今まではサーバー会社が4件とも代行請求していたようで、廃業される以上別の人が管理する必要があります。
であれは今後は、業者自身が窓口となって費用請求する形が一番だと提案しました。
しかし聞くところによると、業者は自分でドメインを直接管理した事は無いようです。
つまりドメインサービスのアカウントなどを開設・管理した事が無い訳ですね。
請求先を統合する
ですので一旦私が4つ全て管理を代行し、その費用を業者に請求します。
業者はそれを受けて、各クライアントに請求する形になりますね。
メールソフトの設定変更
4件ともドメインメールを利用しているので、メールの設定変更が必要になります。
これは業者側の実務担当なので、それぞれの会社(店舗)を巡ってもらいます。
本来は切替前に新しいメール設定を入れるのが筋ですが、メールソフトによって同じメールアドレスの重複登録ができない場合もあります。
その辺りはクライアント環境にもよりますので、事前に入れておくか切替後に設定変更するか、業者の判断に任せました。
一昔前の仕事スタイル
移転サポートをする中で、私とその依頼業者の考え方の違いを感じました。
一番は選択するレンタルサーバー先ですね。
同じようなサーバーをレンタルしたい理由
今は高性能でありながら月額1,000円以下のレンタルサーバー先はたくさんあります。
しかしそういった今風の料金プランのところは鼻から選択肢にない様です。
あくまで今まで契約と金額的に同等程度のところを選択したいようで、主に以下の理由があるようでした。
・NTT系列であるとブランドが効いたサーバー先である事
・IPアドレスで表示できる事
・サイトの事前確認がしやすい事
直接請求されるためブランドを重視
これまでのサーバーがNTT系列のサーバーなので、今回も同じ系列にしたい希望があります。
それはクライアントが料金を支払っているため、請求書が直接届くからですね。
請求書に「NTT」と書いてあるのと、そうでない全く知らない先から来るのとでは印象が違うという事なのでしょう。
※新しいサーバー先からの請求書にNTTと明記されるかどうかはわかりません。
私ならクライアントにどのように提案するか
もしこれが私の担当するクライアントだったらどうするでしょうか。
今は正直NTT系列である事に何の意味もありませんので、月々の維持費が安くなる方がクライアントのメリットになると思います。
ですのでサーバーは安いところに変えても問題が無い事をきちんと説明し、安いサーバー先に変えたいと提案すると思います。
請求先を一本化して収益化を図る
それ以前にできれば全ての窓口を一本化する目的で、私からドメイン・サーバーの全ての請求が届くようにするのではないでしょうか。
そうすれば4件のサーバー契約を個別にしなくても、今は1件の契約に複数サイトをぶら下げる事ができます。
それでも全く問題はありませんし、自分の利益にもつながります。
あくまで「商売」ですから、利益が上がらないと意味がありません。利益を追求するのは当然の事ですからね。
まあそのあたりは今の業者とクライアント間に様々な事情があるでしょうから、理想通り上手くいくとは限りません。
IPアドレスでWEBサイトが表示される
今回レンタルしたWEBサーバーは、IPアドレスでWEBサイトが表示されるタイプのサーバーでした。
契約時に独自ドメインを一つ決定し、この登録ドメインにIPが付与されます。
これにより切替前でも、例えばhttp://000.000.000.000/などで表示させる事ができる訳ですね。
今はホスト名にIPが付与されるのが普通
今主流のレンタルサーバーは契約時に提供されるホスト名に対しIPが付与されます。
その後設定する独自ドメインに対しては、オプション契約しないと付与されません。
なので、IPアドレスでWEBサイトを表示する事ができないケースがほとんどですね。
サイトの事前確認が可能
今回のWEBサイトは全てHTML+CSSで作られたプレーンなサイトばかりです。
ですのでWEBデータがきちんと稼働しているかどうかの事前確認も比較的簡単です。
そして今回のサーバーであれば、切替前でもhttp://IPアドレス/ でサイトが表示されるのでより簡単になりますね。
※もしWordpressサイトだった場合は、IPアドレスで表示されてもhostsファイルを変更しなければ確認はできません。
IPアドレスでの事前確認に慣れている
業者はIPアドレスで表示して事前確認する事に慣れている様でした。
いまはhostsファイルなどがありますから、IPアドレスで表示されなくても事前確認はいくらでもできます。
昔ながらのやり方を続けておられるのでしょう。
業者がドメインにIPアドレスが付与される事を知っててこのサーバーを選んだかどうかは、正直わかりません。
もしかしたらたまたまだったかも知れませんね。
年齢からくる衰えやミス
その業者を見る限り見た目は若く元気だし、年金生活に入ったとはいえまだまだやれそうな感じはします。
でもサイト担当を誰かに引継ぎしてもらいたいと思っている訳ですね。
年齢的なタイミングだけなのかなと最初は思っていました。
でも実際にサポートし始めて、ミスが多い事もわかります。これを自身も肌で感じているのでしょう。
契約時のドメイン名を間違える
先述した通り、今回のレンタルサーバーは契約時にドメイン名を登録する必要があります。
ところが1件の練習用を除く3件のうち、1件だけ「www.ドメイン名」で登録していました。
これはサブドメインで登録をしている事になりますよね。
メールドメインがサブドメインになる
もともとそのサイトは「www.つき表示」だったので、運よく表示はされるのですが一つ問題があります。
例えばinfoのメールが「info@www.ドメイン名」というアドレスになってしまう事です。
本来は「info@ドメイン名」が今まで使っていたメールになります。
つまり契約時のドメインを「www.なし」に変更しないと、今までのメールが送受信できない事になるのです。
日本語ドメインの存在
最初から忘れておられたようですが、日本語ドメインも別に取得していました。
そのドメイン名を打つと、従来のサイトに飛ぶ様に設定されています。
これらの日本語ドメインには、ドメイン転送サービスかリダイレクト設定がされている様です。
後からこの事が発覚したため、急遽ドメイン移管とリダイレクト作業をする事になりました。
プロバイダ契約の存在
後から聞いた話だと、そのクライアントのプロバイダ契約もそのサーバー会社が担当していたようでした。
となればその会社がサービス停止すると、クライアントのネット契約が消失してしまう事になります。
ここには深くタッチはしていませんでしたが、業者が急ぎ別の契約対応をした様です。
メールの確認不足
それから送信したメールに対し、一つ前に送っていたメールをベースに返信する場合がありました。
それでも返答に違和感が無ければ良いのですが、時には電話をして確認する事もあります。
電話で確認して行動を修正
例えば「まだドメインの変更申請に対する結果待ちの状態です」というメールをこちらが送ります。
その一通前のメールには「SSLの設定が完了しました」というメールを送っていました。
この2通の間には「時間的な開き」があるのですが、1通目のメールに返信する中でなぜか「ドメインの変更申請が完了した」と思い込みます。
結果「では明日クライアントのところに行ってきます」と返信が来ました。
おかしいと思って電話を掛けたところ、勘違いだと認識してもらえました。
私もいつかはその時が来る
今回は何やらミスを指摘したような感じになりましたが、基本的にはその方はきちんとされています。
WEBサイトの設置やテストは万全にできていましたし、大きな問題はなかったと思います。
長年やって来たからこそぶち当たる壁
ただ、たまに起きる自分のミスを見て年を取ったとは思うでしょうね。
でも人間いつかは今の仕事を辞めないといけません。命には限りがありますからね。
仕事を譲る事になると言うのは、それだけ長くやってきた証なのです。
いつか他の誰かに託すその日まで
今の時点では正式に管理を譲るお話まではいっていませんが、引退に伴い事業引継ぎというお話にあったのは初めてです。
今回紹介した業者もそうですが、私もそれだけ長くやってきたという事になります。
そして私もいつか他の誰かに引継ぎする日が来る訳です。感慨深いものですね。
引き継がずにポックリといく事だけは気を付けたいものです。
いつか他の誰かに託すその日まで、頑張りたいと思います。