
クライアントエピソード14:「サーバーのメールが受信できない」と言われた話
メールが受信できないというクレームをクライアントから受けた時のお話です。
IMAPで確認しているメールが受信された後に消える現象で、クライアントは端末側で何もしていないと主張。
メールサーバーを変更しても同じ症状が出たので、ようやく端末を確認。迷惑メールに自動振り分けされていた事が原因でした。
IMAPのメールが届いていない
かなり前のお話ですが、クライアントから「メールが来ていないんだけど」と問い合わせを受けました。
そのクライアントは事務所のMACやiPhoneなど合計5台の端末で、全て「IMAP」でメールを確認している環境です。
※本来1つのメールをIMAPで5つもの端末で確認すること自体、お勧めできるものではないのですが。
POPと違いIMAPですから、サーバーのメール一覧を表示しているだけであり、実物メールは一切ダウンロードしてきていません。
担当する前からその設定であり、保守の対象範囲外なのでそのまま維持してもらっています。
メールサーバーがおかしいのでは?
クライアント曰く数日前から突然、過去丸一日分のメールが受信できていないとの事。
要は「サーバーがメールを受信していないんじゃないの?」と言う文句なのですね。
大事なお客様からのメールも消えているので損害を被っていると、多少ながらもこちらを責めてきます。
私も長年やっていますが初めて言われたケースなので、「初物プレッシャー」が掛かります。
メール届いてはいるが、後から消える症状
落ち着いてサーバーサポートに打診して調査したところ、ログ上ではちゃんとメールは受信されているとの事。
さらにそのメールが来ていないとされる対象日の中で、特定IPアドレスからIMAPでサーバーに接続があっていることも確認が取れています。
※IPアドレスの詳細までは開示してもらえませんでした。当然ですけどね。
つまりメールはきちんと届いているけれど、何らかの理由でメールが削除されている可能性が高いことになりますね。
メールアカウントは合計5つ。全てIMAPであり、メール消える現象が確認されています。
部分的に消える
しかも過去のメールは残っていて、とある半日・丸1日の分のメールが後から消えるという状態です。
今までのメールが全て消える訳ではないのですね。
削除された日にち範囲の中でも、消えずに残るメールもあります。
実際にメールが消えたところを確認
実際に私もIMAPでクライアントメールを確認し、受信していたメールが後から丸ごと消えるところを確認しました。
届いてはいますが、そのあと確かにメールが消えるのです(消えないものもあります)。
こんなこと今までありませんでした。個人的には端末が消していると思うんだけど…。
何も設定は変えてないと主張
この事をクライアントに伝えたところ、「こちらは前から何もしていない・設定は変えていない」と返ってきます。
本当は端末の設定を確認してもらいたいのですが、これをなかなか聞き入れてくれないのですね。
今までは無かったのに突然メールが消えはじめるという事自体が、サーバー側に対する不信感につながっている様です。
パスワード変更
こういった事は一つずつです。その段階を追った対応がサービス品質につながります。
不正アクセスの可能性を排除
まずは第三者からの攻撃やフィッシングの可能性を探りました。
外部からの不正アクセスがあるのなら、メールパスワードを変えれば送受信できなくなりますのでブロックできますよね。
ですので5件ともパスワードを変更しました。
この時クライアントの環境も5台同時にパスワードを変更しています。
本来は1台ずつ試してほしいところなのですが、なかなか要望が通りません。
こういったクライアントに対しては多少衝突してでも、「やってください!」と強気に出る姿勢が必要ですね。
症状は改善せず
結果としてはパスワードを変えた後も、消える現象が続きます。
つまりまずは第三者による削除行為ではない事が証明された訳です。
端末側がメールを削除している
となると一番怪しいのは、やはり受信端末のどれかがメールを消している可能性です。
IMAPで確認した際にそのメールを消しているか、或いは迷惑メールを振り分けるアクションを起こしている事も考えられます。
実際に以下の様な記事も調べて見つけていました。
自動振り分け機能でローカルに保存
「メーラーの自動振り分け機能が働いて、サーバー上のメールをローカルに振り分けてくる」の記事です。
特にiPhoneなどでIMAPメールを見ている場合に起きやすいとの事。
ローカルデータに自動振り分けするため、サーバーのメールを消してしまうと説明がされています。
可能性としてあり得ると思いました。
要望を聞き入れない
問題を切り分けるためには、上記の振り分けの可能性も含めて5台の内1台ずつ確認をするべきです。
或いはIMAP受信するのを1台に限定し、メールが消えるかどうかを確認するべきでしょう。
この場合1回あたり数日待つ必要がありますし、それを5台分繰り返す必要があります。確かに手間です。
面倒がるクライアント
ですが事が事だけに、それぞれの端末の設定をしっかり確認するべできですよね。
しかしクライアントはしたくない態度ムンムンです。電話口からその雰囲気が漂ってきます。
なのでこちらの言葉をさえぎって、要望を受け入れてくれません。
POPに変更する
IMAPはあくまでサーバー上のメールを確認しているだけですから、受信時にダウンロードして来る様にPOPに設定し直す手もあります。
仮にサーバーのメールが消えても、端末上の実物メールをいつでも見れますからね。
しかしそうなると過去のメールも全てダウンロードされてきますよね。
環境を変える提案はやはりクライアントが受け付けてくれません。
メールサーバーを変える
エックスサーバーの時は起きなかった
数日間のやり取り後、クライアントは不信感から「以前のエックスサーバーではそんな事は無かった」と詰め寄ります。
私が担当する前はエックスサーバーだったのですが、管理開始と同時にエックスサーバーを離れています。
ですからクライアントはレンタルサーバーの責任にしたいのでしょう。
サーバーを変えれば原因が特定できる
ですので「ではメールサーバー先を変えましょう。」と提案します。
メールサーバーを変えてもメールが消える現象が続くのであれば、100%端末側が原因になります。これで確定しますよね。
ですので本来は無償で実施する内容ではありませんが、サービスでメールサーバーをエックスサーバーに向けました。
サーバー利用先が2方向になりますが、ここは度外視です。
あくまで「ご迷惑をお掛けしておりますので」というお詫びの姿勢を崩さずにです。
メールが消えなくなった…?
切替後2・3日してクライアントに経過を聞いてみると、意外にも「きちんと受信できている」という返事がきました。
なんと、メールが消える現象が解消した様なのです。
「え?じゃあメールサーバー側が本当におかしかったのか…?」この報告を受けて非常に困惑しました。
ちなみに今回の件がサーバー側の原因なのであれば、それは契約上私の責任になります。
そうでなく端末側の設定が影響したものであれば、私に何ら責任はありません。
クライアントからの電話
その翌日、再度クライアントから電話が掛かってきました。
「迷惑メールに振り分けられているメールがあるんだけど」………なんだと?
やはり自動振り分けされていた
先程挙げた記事の通り、ソフト側が迷惑メールを自動振り分けでローカルデータにダウンロードしていた様ですね。
そこに今まで消していたメールが全て入っていたみたいです。
IMAPのメールを切り取ってローカルファイルに移動させていた事がこれで判明しましたね。
やはり原因は「端末側」です。レンタルサーバー側ではありませんでした。
業者ですから、大人ですから
でも私は業者ですし大人ですから、「よかったです~♪」と最大の喜びを示しました。
おそらくエックスサーバーに移った後しばらくは、自動振り分け機能が利かなかったのでしょう。
電話で確認した頃くらいから、自動振り分け機能が発動した様ですね。
そこでやっと端末側の影響に気づきPCなどを確認したのだと思います。おそらくここで初めて確認したのでしょう。
………。
え?メールサーバーはどうするのかって?いや元に戻したりしませんよ。手間がかかりますから。