クライアントエピソード7:ピンチはチャンスです

クライアントエピソード7:ピンチはチャンスです

クライアントエピソード7:ピンチはチャンスです

フリーランス体験談:一時のピンチは大きなチャンスになります。

今回は、きちんと誠実に対応する事で当初よりも大きな仕事案件を頂けるようになったクライアントとの体験談を紹介したいと思います。

今回のクライアント概要

対象WEBサイトのデータ

・移転対象サイトはWordpressで作られたWEBサイトである
・商品の紹介ページがある(Wordpressプラグインで構築)
・カートシステムは別サイト(ASPサービス)を利用している事
・WEBサイトの保守をしている現行業者は今は存在していない
・社内全体としてWEBサイトの事はもちろんネットにあまり詳しくない
・Wordpressの記事や商品更新だけはしている

という状態です(あとからヒアリングをして確認しました)。

WEBサイトのサーバー引っ越しに至る経緯

SSL化の契約延長期日が迫る

ショッピングカートを提供している別サイト側から「WEBサイトのSSL化を導入されて下さい。」と打診があったようです。

ショッピング機能を導入している事もありますし、セキュリティ強化のためhttps化は当然の事でしょう。

今のサーバーは有料SSLプランのみ

SSL化をするにあたり今の契約サーバーを調べてみると、SSLにはいくつか種類が用意してあるが有料プランしか存在せず、無料SSL(Let's Encriptなど)は提供していない事がわかったそうです。

あと2週間でSSLの延長契約が必要

SSL化をしたのが丁度1年前で、SSL化からおよそ1年が経過しようとする段階で、このままならばあと2週間で延長契約をしなければならない状態でした。

その間に無料SSLサービスを提供しているサーバーがある事を知ったのでしょう。

今契約しているサーバーの窓口に聞くと、別プランなら無料SSLが使えますとの提案を受けたようです。

サーバー引っ越し作業ができる業者を探す

じゃあサーバー引っ越しをしたらいいじゃないかという事で、WEBサイト引越しを決断。

それができる業者を探したところ私のところに打診(検索されて弊社サイトからお問い合わせ)が来たという訳です。

まずは契約あとから詳細確認

とにもかくにもお問い合わせを頂いたのが契約更新前2週間というタイミングでした(実に遅いですよね)。

本件は他にもいろいろ抱えている中での差し込み案件だったので、とにかくそのお客様に概算見積もりを提示してすぐに契約をしていただきました。新規取引であるため当然費用は前金です。

事前に下調べをする時間がないまま先に契約・入金と進めてしまったので、情報を取得しつつ状況を調べていくしかないと思いましたね。

とにかく時間も猶予も無し

今契約をされているサーバーのコントロールパネルの情報や、Wordpressのログイン情報などを何とか取得します。

なにせ期日まであと2週間しかない、という事は実働だともっと日数は減ります。

サーバー切替時のプロパゲ―ションやクライアント側にお願いをするドメインメールの設定変更作業などの事を考えると、全然時間はありません。

本来こういったケースの場合

こういった緊急対応の件は過去にも何度かありましたし、今回は一応落ち着いていられました。

移転元サーバーが期日を迎える事で強制的に解約されてしまうケースと違い、今回は「SSL契約延長の期日が迫る」お話だからです。

間に合わなくても責任はない

あと2週間に迫るまで対応が遅れているのはクライアントであり、こちらに責任はないですしね。

だからどこかで、間に合わなければSSLを1年延長してもらえばいい、と思っていたんですね。

後からいくらでも「間に合わない理由をつける事」ができますしね。

でも私は同じ目線で対応しました。

でもその「どうせ間に合わない感」を出して対応すれば、それはクライアントからの信用を失う事になります。相手側は藁をもすがる気持ちで連絡をしてきているはずだからです。

何とか1年分のSSL契約延長をせずにいきたいという欲がありますからね。

ですので
サーバーがどこなのか
ショッピングカートのASP先はどこなのか
SSLのプランは何を使っているのか
移転先はどこを希望しているのか
など、それぞれ情報を掴みながら急ぎ全容を把握していきました。

大ピンチ!問題発生

そこで大きな壁にぶち当たります。ピンチです。

Wordpressのバージョンが古すぎる

Wordpressの管理画面を開いて初めて、そのバージョンが「3.8」である事がわかりました。

今のWordpressの最新バージョンは「5.3系」でしょうか。大きな隔たりがありますね。ですので移転するとなればアップグレードをしなければなりません。

アップグレードを自動でおこなっていく仕様にもなっていないようでした。この辺りはこのWEBサイトを制作した業者の事情もあるのかも知れません。

移転時はほぼ間違いなくエラーが出る

そのままアップグレードせずに移転をすると移転先ではほぼ100%の確率で上手く移転ができず、何かしらのエラーが出ると思いました。

アップグレードするにも段階を追ったアップグレードをしないと、一気に5.3付近まで上げるのは無謀です。私はそれで一度失敗しているので同じミスは出来ません。

ピンチ回避のため緊急提案をする事に

提示した見積書はあくまでWordpressサイトの移転に関する一式費用のみであり、段階アップグレードの際にサイトの機能を維持(プラグインの調整など)をするまでの修正費用は含まれていません。

アップグレード時にどのような事が起こるかわからないので、それをうまく把握・追加計上するには時間も掛かります。

でも期日はその時点であと10日程度しかない状態です。移転が難しいというこの状況を踏まえて、クライアントの信用を損なわない提案をしなければなりません。

さて、どうしたものか…。

4つの提案

私はここで4つのプランを提示しました。

4つの提案プラン

提案1:移転先サーバーを契約する前に、テストサーバーに移転してみる
提案2:httpsを一旦httpに戻す。つまりSSL化を解除する
提案3:アップグレードをする
提案4:移転時にWEBサイトのデザインリニューアルをする

提案1について

移転先サーバーで本当にエラーが出るのかどうかは、確かにやってみないとわからない部分です。クライアントに納得してもらうためには重要な部分だと思います。

でもそこでエラーが出たらWEBサイトは映らず、それに対して復旧作業をする間にSSL申請の期限は確実に切れてしまいます。

お客様の契約ではなくテストサーバーで損をさせない

となるとSSLの期限は延長するしかないはずなので、結果1年延長するのであれば今回の引越しを急ぐ必要はありません。

となると移転先サーバーを新しくレンタル契約した分だけクライアントが損をする事になりますよね。

ですのでどうしても確認がしたいのであれば、テストサーバーをこちらで準備するのでテスト移転してみてはいかがでしょうかという提案です。もちろん現状のSSL契約は延長ありきです。

提案2について

SSL化をしている事でこれだけの問題になっているのですが、本来はhttp通信の状態であってもWEBサイトに致命的なセキュリティホールがある訳ではありません(今のところはです)。

ですので一旦HTTPSからHTTPへ通信を戻す(SSLを解除する)提案になりますね。

そうすればSSL延長期限という縛りに影響される事無く、腰を落ち着けて検討する事ができるためです。

提案3について

アップグレードを段階を追いつつ実施していくプランです。当然追加料金が掛かりますし、SSL契約延長期日には間に合いません。

これは「見せ球」的な提案になりますかね。

提案4について

スマホ版が準備されてない事に目を付ける

WEBサイトをデザインリニューアルする提案です。今のサイトはスマホ版が無いタイプでしたので、PCスマホ一体型レスポンシブルデザインでリニューアルをすればスマホ版コンテンツが自動でできます。

サーバーを引っ越しする際に同時にリニューアルを掛けるようにすれば、移転先で最新バージョンのWordpressを元にリニューアルができます。アップグレードの心配をする必要がないのです。

アップグレードをさせる労力が掛からないのは大きなメリットですよね。つまりこの提案4を実施するのであれば、提案3はしなくて良いという事になります。

提案2のリスク

実は提案をしている時点では安易に考えていましたが、HTTPSからHTTPに戻すのは思った以上にリスクがありました。

詳細は別記事で説明させて頂きます。

WEBサイトリニューアルに案件変更

提案4に決まる

クライアントはSSLをするにあたりショッピングシステムを提供しているASP側から「SSLは絶対にやってください、でないと困ります」という深い釘刺しがあったそうで、SSLを辞める訳にはいかないとの事でした。

これで提案2はボツになります。

あなたが言うようにほぼ間違いなくエラーが出るのなら提案1をしても仕方ないし、という事で提案1も却下です。

提案3をするなら4をした方が良いという事は理解して頂けたようなので、結果「WEBサイトをリニューアルしようか」という話になりました。

WEBサイトリニューアルの見積書提出

ですのでサイトリニューアルの見積書を即出しました。

そこで、社長より「今回引越しはしなかったのだから、このサイトリニューアル費用から今回の移転費用は差し引いてもらうよ」という条件を出されました。

これを私はそのまま受け入れました。

損をして得を取る

もちろんWEBサイトをリニューアルする訳ですから、移転費用を差し引いても利益は出ます。そして何よりクライアントへの誠意を示す事になります。

移転ができなかった事はどんな事情があろうと私側の責任ですので。

当然クライアントには1年間有料プランSSLを契約延長してもらいました。

クライアントの信用を得る事が大事

期日がない中、緊急で情報収集や提案などをした対価をどうするのかという問題はあるかも知れませんが、移転費用全額を差し引く事に決めました。

「全額差し引いてくれたんだ」という態度が強い印象付けになり、それが私に対しての信用につながると思ったからです。

全体的にそれ程大きな案件レベル(金額レベル)では無いのですが、非常にピンチの状態から大きなチャンスをものにできたと思っています。

読んでいただきありがとうございました

最後まで読んでしまえば何てことはないお話ですが、私が日ごろから大切にしているのは「相手から信用される事」です。特に新しいクライアントとのファーストコンタクトは非常に大事です。

今回に関しては「損はしていない」案件です。でも場合によっては「損をする」様なケースに出くわすかも知れません。でもそれが信用を高める結果につながるのであれば、私はトライしてみる価値があると思っています。

今後も信用UPのため最大限尽力していきたいと思います。

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